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康介修斗のバレンタイン 11
修斗さんに見つめられ「開けていいですよ……」とドキドキしながら俺は言う。修斗さんは俺からのチョコの箱を開けるとそのまま固まってしまった。
「……康介、これって……チョコ?」
いやいや……
チョコじゃなかったら何なんだよ。
「………… 」
「だよね? チョコだよね! もしかしてこれ、康介の手作り?」
恐る恐る修斗さんが俺に聞く。もしかしなくてもこんなもん既製品ならクレームものじゃん。そもそも母ちゃんにもチョコだって認識されなかった代物だぞ? めっちゃ修斗さん困ってんじゃん。
手作りなんてやめとけばよかった。
「……そうです。すみません、チョコに見えなくて……」
修斗さん、めちゃめちゃ焦ってる。困らせたかったわけじゃないのになにやってんだろうな俺。
「違うよ! さっき俺が康介の鞄に荷物押し込んじゃったから、せっかくの康介のチョコが潰れちゃって……本当ごめんっ! でも嬉しいよ! 康介まさか手作りなんてしてくれると思わなかったからさ」
あぁぁ……
やっぱり買えばよかった……穴があったら飛び込みたい。
俺が凹んでいると、修斗さんは俺の首に腕を回してきて顔を近づけ口を開ける。
「はい、あーん。 康介の手作りチョコ、食べさせて」
ちょっ……ちょっと!
何やってんの? その顔エロ過ぎるから! 破壊力凄まじいから!
突然の修斗さんの大胆行動に、どうしようもなく顔と下腹部に熱が集中してしまいながら、俺はそぉっと修斗さんの口にチョコを放る。
……大丈夫かな?
「ん……美味い! 康介、美味しいよ! もっとちょうだい!」
唇をペロッと舐めて至近距離で俺に笑いかける修斗さん。「もっとちょうだい」なんて言いながら俺に向かって口をアーンって開けながら可愛い舌をチロっと動かす。
ヤバい……
これ、天然でやってるの? わざとかよ。小悪魔感ハンパねぇ……股間がヤバい。また目を瞑って口をアーンって開けてる修斗さんに、俺はもうひとつチョコを食べさせた。
……?!
「あ、ちょっと…… 」
修斗さんは、今度は俺の指までしゃぶってきた。
チョコと一緒に俺の指をペロリと舐めて、満足そうに微笑む修斗さん。
「あ……れ? 康介どうした? 顔真っ赤」
どうした? じゃねーよ! 真っ赤にもなるわ!
わざとだろ? 違うの?
「俺の……指…… 」
「あ、ごめんね。嬉しくてつい…… 」
俺は修斗さんの手首を掴んで引き寄せる。
「修斗さん、わざと俺の事煽ってるでしょ?」
俺が少しだけ睨むと、修斗さんは赤い顔をして首を振った。
「あ……違う、ごめん……煽ってない……康介の手作りが嬉しくてさ。ねぇ、俺のも食べてよ」
そう言って修斗さんは俺の手から逃れ、さっきのチョコの箱を俺に見せた。
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