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修斗の誕生日 1

俺さ、もうじき誕生日なんだよ。 去年は別に誰とも付き合ってなかったし特に好きな奴もいなかったから、誘われるままに仲間内で遊んでいっぱいお祝いをしてもらった。 でも今年からはそういうのは無し! 康介が俺のために何やら一生懸命準備してくれてるんだもん。 俺に内緒のつもりなんだろうけど……バレバレなのがまた康介らしくて可愛いよな。 俺はここ一週間くらいの間、あちこちから来る誕生日のお祝いのお誘いを断ることに追われてた。 俺には康介がいてくれるだけで十分なんだ。 もう康介がいてくれるから寂しくなんかない…… 今日も保健室でサボりながら、ひっきりなしに届いていたメッセージの返信を打っていた。 めんどくせえ── 『俺たち付き合ってるわけでもないのにそんな風にしてもらうわけにはいかないよ』 『いいの! 私が修斗君にしてあげたいだけだから。気にしないで。ケーキも焼いて持って行くから』 男の誘いは難なく断れるんだけど、女の子って遠回しに言ってもわからないのかグイグイくる。 『気持ちは嬉しいけど、大事な人いるしこういうの迷惑だから、もうやめてね。ごめんね』 これくらい書かないと諦めてくれないからちょっと罪悪感。キツい言い方はしたくないんだけどな……わかってくれねえんだもん、しょうがないよね。 あとは毎年盛大に祝ってくれる奴らにメッセージを送った。 『会場準備してくれてるのはありがたいけど、前にも言ったけどさ、俺今年は付き合ってる奴と二人で過ごすから行けねぇよ』 『はぁ? なんだよ、付き合ってる奴いるって冗談じゃなかったのかよ。修斗が誰かひとりに絞るなんて考えらんねえ! 大丈夫か?』 ……俺は本気で好きな奴見つけたんだよ。 ていうか、そもそも一人に絞るも何も、誰とも付き合ってないし。 結局さ、こいつら俺の誕生日会って銘打ってどんちゃん騒ぎしたいだけなんだよ。 『いつも遊んでくれてありがとう。誕生日の事も悪いな、俺いなくても盛り上がってくれよ。今度別の機会で遊ぼうな』 ……送信っと。 携帯と睨めっこで、ずっとポチポチやってたから隣に高坂先生が座ってたのに気がつかなかった。 「なに? センセーいつの間にここいたの?」 先生は相変わらずのフワフワした笑顔で俺を見ている。 高坂先生の学校にいる時のお馴染みの顔だ。この人、オンとオフの差が激しくてびっくりしたっけ…… 「修斗くん、忙しそうだねぇ。大丈夫? デートのお誘い断りまくりだね」 俺のスマホの画面を覗き込みながらそう言って笑った。 「そうなんだよ……みんな俺の事思ってくれてるのは有り難いんだけどさ。でも俺は康介に祝ってもらえればそれだけでいいから……」 「修斗くん、惚気もいいけどちゃんと授業に行ってね。一応今授業中だよ? 知ってた?」 俺の肩にポンと手を置き、先生が貼り付けた様な笑顔を見せる。笑顔といっても目が笑ってない。ちょっと長くここにいすぎたかな? 怒られる前に撤退した方が良さそうだった。 「ごめんなさい、 気づかなかったでーす」 俺は先生に一応謝ってから、チャイムと同時に教室へ戻った。 教室では、周が机に突っ伏して眠ってる。 結局こいつとは三年間同じクラスだった。先生曰く、俺たちは二人セットの方が何かと扱いやすいんだと…… でも、何だかんだ俺の事を一番よくわかってくれてるこいつとずっと同じクラスで本当よかったなって思う。俺は眠っている周の髪を軽くピンっと引っ張った。 「お……? 修斗来てたんだ」 顔を上げた周が、半分寝たまま俺に言う。 「うん、保健室行ってた……なぁ周、今日はバイト?」 「ん? バイトはねぇよ、どうした?」 最近バイトに忙しい康介がかまってくんないから、放課後暇なんだよね。 家に帰っても一人だし。さすがに何日も続くとつまらない。 「竜太君と約束なかったらさ、たまには俺と遊んでよ。今日も暇なんだよね」 「でた! 修斗の寂しがり。 いいよ、約束してねぇし竜太は部活だろ? 久しぶりにカラオケでも行くか」 周はそう言って笑い帰り仕度を始めた。

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