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修斗の誕生日 3
俺は一年の終わり頃からバイトをしている。
コンビニの店員。
修斗さんの誕生日に、いろんな事をしてあげられるように頑張って金貯めたんだ。
ほとんど毎日のようにシフト入れてたから、ここのところ全然修斗さんと遊べていなかった。
めっちゃ寂しい……
最初のうちは修斗さんの方から「遊ぼう」って言ってきてくれてたけど、俺が断ってばかりいたせいか最近では何も言われなくなってしまった。
どうやら竜や周さんとかと遊んでるみたいだけど……
大丈夫かな?
ごめんね、修斗さん。
でも、修斗さんの誕生日はサプライズを考えてるからバイトの事ももちろん内緒。絶対びっくりして喜んでくれるよね?
いよいよ明日──
明日は計画通りに進みますように。
俺はワクワクしながらベッドに入った。楽しみすぎて、眠れなかった。
翌朝いつも通りに学校へ行く。
昼休みは竜のクラスへ行き、二人で屋上へ向かった。
いつもの場所で座って食べていると、少し遅れて修斗さんと周さんも合流して、そしていつもと変わらず一緒に昼休みを過ごす。
竜は周さんの膝の間に座り、仲良さげにお喋りをしている。俺はちょっとだけ修斗さんに寄り添い、小声で聞いた。
「今日も修斗さん、放課後までちゃんといますよね?」
大事なこの日に、サボって帰られちゃったら計画が台無し……
「ん? いるよ。今日は一緒に帰れるの?」
俺の顔を覗き込むようにして修斗さんが聞いてくる。
「いや、すみません。今日もちょっと……」
「………… 」
修斗さん、何か言いたげに口を尖らす。
でも誕生日当日で浮かれていた俺は、修斗さんのそんな表情は気にも留めなかった。
昼休みが終わる間際、俺は保健室に向かった。
「先生、俺目眩する。気分悪いんだけど少し休んでもいいですか?」
ちょっとだけ具合が悪い風を装って高坂先生の顔を見る。
「どうしたの? 康介くん珍しいね。ちょっとこっち来てごらん」
俺はさっさとベッドに入りたかったのに先生の前に座らされてしまった。
先生は俺の目の中を覗いたり、首筋を触って難しい顔をしている。
「……あの」
「うん、熱もなさそうだし…… どうした? 寝不足か? 疲れてるのかな?」
いや……仮病なんだけどね。
心配そうに俺を見る先生に、少し申し訳ない気持ちになってしまった。
「はい……ちょっと最近眠れなくて。今日は朝から目眩がしてふらふらするんです」
そう言って、俺はベッドで休ませてもらう事に成功した。
少し休んでも体調が優れないからという理由で早退させてもらう。家の人に連絡入れようとする先生に、家は留守だから……と言って一人で学校を後にした。
……さ、家に帰って支度しよう。
修斗さんが下校するタイミングで学校へ迎えに行って、ひとまず一緒に修斗さんの家に帰るんだ。
そこで修斗さんにも着替えてもらって、改めてお出かけ。
俺が先にこうやって着替えておけば時間も短縮出来るし、迎えにだって行ける。
予定通り早退も出来たし…順調順調。
俺はいつもより念入りに髪をセットして、修斗さんがカッコイイじゃんって褒めてくれたお気に入りの服に着替えた。
よし……完璧!
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