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修斗の誕生日 8
修斗さんも無事に戻り安心する。
ひとまず俺らは修斗さんの家に向かうことにした。
……俺、疲労困憊で自転車こげない。不本意だけど、修斗さんの後ろに乗せてもらった。
クッソ! こんなはずじゃなかったのに……
でも、修斗さんの背中……
修斗さんの匂い……
久しぶりだな。なんか嬉しい。
シャワーを浴びさせてもらって、おまけに修斗さんの服まで借りた。
少しきつく感じたけど……ま、大丈夫だろう。
着替える時、後ろから修斗さんに抱きつかれてキスされた。
反則だよ……
不意に「好きだよ」とか耳元で囁かないでほしい。
キスして……なんて、そんな顔で見つめないで。
今すぐ押し倒したくなる衝動に駆られる。
「……どうせまだ足ガクガクしてんだろ? キスから先はまた後でね」
いつもの小悪魔な顔で俺を見つめる修斗さん。
思い通りにいかなくて調子狂ってイラつくけど、あんな可愛い顔で頬を触られたら、もうどうでもいいや。
また修斗さんに自転車の後ろに乗せてもらい出かける。
「ねえ、どこ行く? どうする〜?」
ご機嫌な声で修斗さんが俺に聞いた。
ゴタゴタしちゃったせいで、レストランの予約の時間まで微妙なんだよな……
「修斗さん、ショッピング。修斗さんが欲しいもの、俺が買います」
後ろから修斗さんの背中に向かってそう言うと、すかさず振り向いて怒られてしまった。
「やだ! 何言ってんの? いらないよ。一緒に買い物する時はね、二人で楽しみたいじゃん。俺だけ買ってもらうのは無し! だからいらない!」
なに? そんな怒ること?
喜んでもらえるかと思ってたのにな。
……なんのために俺バイトしたんだよ。
まぁ、別にちゃんとプレゼント用意してあるからいいか。
「じゃあ、修斗さんどこに行きたいですか?」
「ん? 買い物行こうよ。俺、洋服見たい。康介と一緒に。別に買わなくても見に行くだけでもいいだろ?」
「………… 」
なんだかんだ言って、結局レストランの予約の時間までショッピングモールでぶらぶらする事にした。
終始ご機嫌な修斗さんに、なぜか俺はエロいパンツを買わされた……
勿論、お揃いでお互いにプレゼントし合った。
……これ絶対、履けって言うよな?
ま……いいか。
修斗さんが履いてるの見たいし。
それだけ買って、時間が迫って来たので駅前に自転車を置き予約していたレストランへ向かった。
「康介、なんかしんどそうだね? 大丈夫?」
俺が歩くのが遅いからか修斗さんに心配される。
勿論さっき無茶して膝がおかしいのもあるんだけど……久しぶりに修斗さんとデートで嬉しくて、なんだか時間が惜しくてゆっくり歩いてしまうんだ。
ゆっくり歩いたところで何も変わらないんだけどね。
こうやって俺の歩幅に合わせてくれて、気遣って顔を覗いてくれる修斗さんが愛しくてしょうがない。
好きすぎてアホになってる俺。
「大丈夫ですよ。修斗さんと並んで歩いてるのが嬉しくて…… 」
俺がそう答えようとしたら、修斗さんが手を繋いできて驚いた。
……いや、人いっぱいだし恥ずかしい。
そう思った瞬間に手が離れた。
「ちょっとだけね、手を繋ぎたくなっちゃったから……でもやっぱり恥ずかしいね」
小声でそう言ってクスクス笑う修斗さんも顔が真っ赤。
は? 何だよそれ。どんだけ可愛いんだよ!
もう大好き!
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