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高坂と志音 小旅行⑦
いよいよ休みの日──
俺は昨晩から泊まってくれている先生を起こさないように、そっとベッドから抜け出ると朝食の準備を始めた。
俺の分は簡単にバナナとヨーグルトでスムージー。先生には食パンにバナナを切ったものとバターを乗せて、シナモンをふりかけ軽くオーブンで焼く。それとプレーンヨーグルト。
ちょうど焼きあがった頃に目を擦りながら先生がリビングの扉を開けて俺の方へと歩いてきた。
「おはよう……なに? すごい甘くていい匂い」
なんだか子どもみたいに眠たそうな顔をして、ぼんやりとテーブルまできて椅子に腰掛ける先生が幼く見える。
「はい。朝ごはんどうぞ」
淹れたてのコーヒーと焼き上がったトーストを先生の前に置いた。
「……何処ぞのカフェか」
先生はクスっと笑い、そして俺の方を見て「いただきます」と両手を合わせる。俺は自分が作った朝食を大好きな人が目の前で食べてくれてる様子をジッと見つめ、毎日がこんなだといいのにな……と考えた。
「なんだよ、そんなに見つめんなよ。なんか照れる。てかこれ何? 凄い美味いな!」
いちいち先生は感嘆の声をあげ、嬉しそうに食べてくれた。そしてあっという間にぺろりと食べ終え、食器も片付けてくれた。
「ごちそうさま。これ洗ったらさ、早速支度して出発するぞ」
先生は俺の手が荒れるといけないからって、来るといつも洗い物をやってくれる。
「いつもありがと……ねえ陸也さん?」
「ん? なんだ?」
「すごく楽しみ……陸也さん大好き」
洗い物をしてる先生の後ろから抱きつき、頬にチュッとキスをしてから俺は寝室へ行き、着ていく洋服を選んだ。
先生がマンションの前に車を回してくれる。
後ろの席に荷物を置き、助手席へ乗り込むと先生が俺の頭をわしゃわしゃと撫ぜた。
「運転よろしくお願いします。安全運転でね」
俺は先生に笑いかける。
いよいよ出発だ。
先生って運転してる姿もかっこいい。でもあんまり見てると怒られる。
他愛ない話をしながら、俺は先生のあいてる左手を握った。
運転中はいつも手を繋いでくれる。
外だとできないけど、車の中なら外からは見え難いからね。
でもあんまりずっと握ってるのも危ないから少しだけ……
「ねえ、何処までいくの?」
かれこれ休憩挟んで二時間ほど走ってる。
「あ、次のインターで降りるから。そしたらすぐだよ」
そうい言った先生は、握っていた俺の手の甲にチュッとキスをした。
インターを降りてすぐ、周りの雰囲気を見た俺は気分が高まる。車の窓から見えてきたのは、綺麗に飾られた色とりどりの七夕飾りだった。
「陸也さん! 見て、凄い綺麗! そういえば七夕だったね」
「そうだよ。この辺りは七夕祭りで有名なとこなんだよ。とりあえずホテルでチェックインだな」
チェックインするにはまだ早そうだけど……
先生がそう言うから、俺はうん、と頷いた。
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