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俺たちの形③

「でも敦が悠さんのためにそう考えてるのはすごくいい事だと思う」  悠さんが自分のことは二の次で、いつも相手に遠慮してしまいそうな性格なのは何となくわかる。過去での先生のことだってきっとそうだったんだ。敦が一番悠さんの事をわかってると思うから、こんな思い切ったサプライズを考えたのだろう。 「皆んなの前でプロポーズなんて、きっと悠さんは驚くけど、でも好きな人から言われたら嬉しいんじゃないかな。でもさ、敦は仮にも有名人なわけじゃん? 悠さんは一般人。悠さんにとってはリスクが大きいと思わない?」  こんなこと周りにバレてしまったら、世間に顔を知られている敦以上に、敦の相手だというだけで悠さんが好奇の目に晒されてしまうのが目に見えている。そうなったら悠さんはどう感じるのだろう。俺からしてみたら不安しか湧かない。でも敦はそんな事、ちゃんとわかった上でそう言っているんだ。 「やるならさ、本当に信用できる、二人にとって大切な人だけを集めてその……プロポーズみたいのをやったらどう? 場所も周りにバレないような所をおさえてさ……」  自信のない悠さんは、こんな事をされたら敦の覚悟に触れられてきっと嬉しいんじゃないかな……と俺は思い直す。ちゃんとそれがわかっているから敦はこんな馬鹿げたようなことを真面目な顔して俺に話すんだ。最初は馬鹿じゃないの? って思ったけど、敦の真剣な顔を見ていたら、俺も少し考えが変わっていった。 「それな、社長にも同じこと言われた。信頼できる所をおさえるから、どうしてもやりたいならそこでやれって。でも絶対じゃないから漏れることもちゃんと考えろって。でもさ、俺はバレたってどうって事ないんだよ。悠さんだって俺が守るし覚悟もある。俺の覚悟がちゃんと伝わってくれるといいんだけど……」 「それならいいじゃん。やれば?」  なんだよ……  もうそこまで真雪さんとも話をしているなら、もう敦の中では「やる」と決まっているのだろうし、俺が口出しする事もない。案の定、俺の「やれば?」の言葉を聞きたかったらしく、敦は嬉しそうに大きく頷く。そして改めて真面目な顔をした敦にお願いされた。 「でさ、志音に頼みがあるんだけど……」  敦のお願いというのは、先生は勿論、俺の友達で悠さんとも交流があった奴らに事情を説明して招待状を渡して欲しい、というものだった。俺がそれを聞いて真っ先に頭に浮かんだのは竜太君達。きっとこんなことを聞いたら竜太君は喜んで祝福してくれるだろう。パアッと綻ぶ可愛い笑顔が浮かんで自然と俺も笑顔になった。 「きっと沢山の人に見てもらって祝福されるよ。勿論悠さんには内緒なんだよね? サプライズ、上手くいくといいね」  敦のプロポーズ大作戦──  ちょっと羨ましいな……なんて思いながら、俺は敦からみんなの分の招待状を預かった。   それにしても何だよ、もうしっかり場所も押さえて招待状まで用意してあるんじゃん。

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