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康介の誕生日⑦
「康介、まだぁ?」
絶対にそこら辺にいるはずなんだけどな。
「ねぇってば……」
不安も限界に近くなった時、不意に内腿を撫でられる感覚に驚き体を跳ねさせてしまった。
「やっ!……ちょっと? 康介?……ひゃっ…… 」
両足をポンと投げ出しベッドの頭の部分に寄りかかるように座っていた俺は、体を捻り康介を探す。
「脅かすなよ……おい、ちょっと? 康介? いるんだろ?」
それでもやっぱり康介は黙ったまま。そしてまたヒュッと内腿を撫でられる。それが何度か続いた。
「……? んっ、あっ…… やだ、あぁ…… 」
冷たい指先が俺の内腿をなぞる度、そこに熱が集まってくるような感覚に息が上がった。自分の意に反してその微かに触れる指先の感覚にどうしたって神経が集中してしまう。
ドキドキする……
それでも康介の声が聞こえない、見えないだけでこんなに不安になるなんて思わなかった。
「やだ……康介。意地悪しないでよ」
康介の姿を探そうにも両手も前に出すことができない。
「んっ……! 」
今度は下唇を撫でられた。
指? 何が触れたかすらもわからない……
ゾクゾクと快感が走り抜ける。
思わずキュッと唇を結び体を丸めると、やっと康介が声を出した。
「ふふ……修斗さん感じ過ぎ。見えないとさ、ドキドキするでしょ?」
康介の吐息が耳にフワッとかかる。思いの外近い位置にいた康介の気配にほっとするも、体に触れる息さえも快感に変わっていくのがわかり気持ちが焦った。
「んっ……」
パーカーのファスナーをジリリと下され、突然何かが乳首をかすめる。
「ひぁっ……何?」
小さくブブブ……と音をさせながら、それが触れるか触れないかの距離で胸のまわりを擽っていた。
「や……やだ……気持ち悪い……んっ……あっ!……ぅぐっ……」
急に乳首にそれを押し付けられ、突然の痺れるような快感にまた大きく体が跳ね上がる。
「康介!……やだそれ!……何でそんなもん持ってんだよ!」
「ネットで買いました」
目隠しをされているから、いつどこに触れられるかわからなくてドキドキする。それに康介自身ではない冷たい機械の感触にぞわぞわしてしまい変に声が漏れてしまうのが猛烈に嫌だった。
「うぁっ!……んんっ……ダメ……あぁぁ……」
それはいやらしく振動音を立てながら、内腿からそろそろと中心部へと這い上がってくる。遠慮なく敏感な先端へと触れると、また体が跳ね上がってしまった。
「うっ……ふざけんなよ……調子のんな……っ?」
そう強がってみても、突然のキスで言葉を塞がれ乱暴に押し倒されてしまう。康介だとわかっているのに、いきなり乱暴にされれば恐怖心も顔を出した。
「やだ……康介、見えないの……やだ……」
後ろ手に拘束されてるから抱きしめることもできない。
そんな俺の事なんかおかまい無しに、康介は俺のショートパンツと下着を脱がしにかかり、露わになったそこに口付けてくる。
「修斗さん……完勃ち。可愛い……好き……いっぱい感じて、もっとおかしくなって……」
「………!」
急に太腿をガッと捕まれ開かされてしまう。
「あっ! やっ……あぁぁ……バカッ……んっ! 」
視界が遮断されてるせいか、いつも以上に敏感になっているそこを執拗に舌で舐られ、後ろにも指先を侵入させてくる康介に、俺は体を捩って抵抗するしかない。怒涛の如く押し寄せる快感に恐怖すら覚えながら、俺はされるがまま情けない声をあげる事しか出来なかった。
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