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今年のHalloweenは/高坂と志音②

「いい事?」 珍しく敦が小さくなってもじもじしている。 「……なに? 気持ち悪いよ」 いつも堂々としている敦なのに「いい事」と言った時の雰囲気がいつもと違うように感じて、思ったまま声に出してしまった。 「気持ち悪いってなんだよ! ……俺さ、あのさ、気になる人できたみたい。気になる人……うん、好きな人できた」 敦はこの上なくもじもじしながら、好きな人ができたと俺に報告してきた。 「や、だから敦、気持ち悪い……」 「なんだよ! さっきから気持ち悪いって! そうだよ、志音の事好きだったけどさ……俺、志音よりいい男、見つけたから」 そう、敦は俺が先生と付き合う事になる前、俺の事が好きだと言って告白をしてきた。 もちろんそんな風に見られていたなんて思ってもいなくてその時は驚いたし、元々敦とは家族みたいなもので、そういった意味で俺にとって大切な人だから……だからそう言って俺は断ったんだ。 「よかったね。その人とはもう付き合ってるの?」 照れくさそうに話す敦に聞いてみると、ニコニコしながら首を振る。 「ん〜ん、付き合ってない……多分無理。凄いんだ、ガードが固くて。でも俺がね、少しずつ壁を壊してやるんだ。ちゃんと笑えないのって辛いもんな……」 「………… 」 敦も俺と同じで好きになるのは男の人だ。 好きだから、はい告白……なんて簡単にできる事じゃない。 敦だってきっと色んな思いをして今ここにいるんだ。 「……その人に気持ち伝わって受け入れてもらえるといいね」 俺がそう言うと、敦は優しい笑顔で頷いた。 やっぱり早く先生に会いたくなっちゃった。 「ねえ、俺さ……もう帰ってもいい? どうせ今の事を話したかっただけだろ?」 今から帰れば先生の家に行ける。 遅くなりそうなら泊まっちゃってもいいし。 「ええ? もう帰っちゃうの? ……いいよ、てかさ〜、早く彼氏紹介しろよな」 「はいはい……そのうちにね」 敦にはまだ先生の事は言ってない。 実は悠さんの店で前に会った事あるんだけど、気づいてないんだろうな。 俺はメイクさんを捕まえて、着替えとメイク落としをすませる。 女にしか見えないからそのまま帰れと言われたけど、なんの罰ゲームだと怒ったらメイク落としを貸してくれた。 180センチ超えの女なんて目立つだろうが…… いらないって言ってるのに、記念にやるといって着ていた衣装やウイッグも渡される。 こんな物、荷物になるからいらないんだけどな。 とりあえずさっさと店を出て、先生に電話を入れた。 「もしもし? 陸也さん、今なにしてるの?」 『ん? なんにも……これから悠のとこでメシでも食わせてもらおうかなって思ってたとこ』 怠そうな声…… 「なら悠さんとこ行かないで、今から俺が陸也さんとこ行くからさ。メシも何か買っていくから待っててよ」 そう言うと、先生は待ってる間に簡単なものを作っておくと言ってくれた。 先生の手料理、久しぶりだな。 俺は嬉しくなってウキウキしながら陸也さんの家に向かった。

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