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不思議なXmas①/目覚めた陽介

ここはどこだ? てか、辺り一面真っ白い……布? 俺は目が覚めたものの自分の置かれた状況を理解するのに時間がかかった。 「はぁ?? 」 周りを見渡し思わず声を上げてしまう。 だって……いや、ありえないだろ。わけがわからないし、何これ、怖いんですけど。目が覚めてすぐだから、ちょっと寝ぼけてたってのもあるんだろうけどさ、少ししてからやっと自分の状況が見えてきた。 辺り一面真っ白いって思ったのは、俺が座ってるこの場所が、恐らく多分、いやきっと……もしかしたらベッドの上だということ。そしてそのベッドが尋常じゃないくらいデカいということ。 軽くバスケットのコートくらい?? もっとある?? 遠くに枕らしい物……山? も見えるし、よく見るとどこかのホテルの一室みたいだった。 「………… 」 いや、これはベッドを含め周りがデカいってんじゃなくて、俺が恐ろしくちっこくなっちまったって認識したほうがいいのかな。 ……いや、夢だ。ありえない。何で俺、縮んでんの? 「これは夢だ。うん……もっかい寝よう」 モゾモゾとシーツを自分の方へと手繰り寄せ、体を包む。 ……でもやっぱり落ち着かない。一度認識してしまったこの恐怖でドキドキしている心臓が煩い。俺、どうなっちゃうのかな。ここがどこかもわかんねえんだ。 「寝れるわけねえ」 しばらくの間、シーツに包まってみたり飛び出してみたり、コロコロと転がってみたりしてみる。 無駄に広い……てか広大すぎるこのベッド。 でも清潔そうないい匂いがして、シーツに包まれてるとなんだか少しずつ安心できるような気がした。 なんだろうな……この感じ。 あ! そうだ、圭ちゃんだ。なんか圭ちゃんの匂いがするんだここ。 気のせいかもしれないけど、近くに圭ちゃんがいるような感じ……そう思ったらちょっと幸せかもしれない。 しばらくの間、俺は今起きている状況は置いておいて、この心地よさを堪能した。 「……っ!」 ふと視線を感じ振り返ると、目の前に見えたのは大きすぎる人の顔。驚きすぎて怖すぎて、俺は声も出なかった。 心臓が喉まで飛び出た。 息を吸い込みすぎて、吐くのを忘れる…… でも、優しい笑顔で俺を見つめるその顔は、俺が会いたくて会いたくてしょうがなかった大好きな人の顔だった──

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