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不思議なXmas③/再会
「け……け、圭ちゃん?」
なんとか飛び出した心臓を飲み込み、俺はバカでかい圭ちゃんに声をかけた。目の前のでっかい圭ちゃんは俺を見てクスクスと笑っている。
「圭ちゃん?」
「あ……ごめん。陽介どうしたの? 俺に会いに来てくれたの?」
笑いながらベッドに顔を乗せるようにして俺に近づき、人差し指を差し出す圭ちゃん。
俺はなにも言えずにその指にそっと触れた。
……圭ちゃんだ。
本物の圭ちゃんだ! デカいけど!
圭ちゃんの差し出した指先にしがみつき、俺は嬉しくて泣きそうになってしまった。
「なんで陽介こんなに小っちゃいの? どうやってここまで来たの?」
「………… 」
そんなの俺もわからない。
ありえない状況に、きっとこれは夢なんだろうな、と心の奥で納得する。
「起きたらここにいた……ねぇ、本当に圭ちゃん?」
俺は圭ちゃんのバカでかい人差し指の先に抱きついたまま聞いた。
「俺以外に誰に見えるんだよ」
そう言ってクスクスと笑う圭ちゃん。確かにどっからどう見ても圭ちゃんだよね。俺はしがみついていた指に飛び乗り、必死に圭ちゃんの腕につかまりよじ登った。
くそッ!
抱きしめたい!
抱きしめられたい!
なのになんで、なんで俺はこんなにちっせえんだよ……
半分泣きながら圭ちゃんの腕にしがみついてると、フワッと体が宙に浮いた。
「陽介、落ち着けって。ほら、こうすれば……ね、ちゃんと顔見せて」
圭ちゃんの手の平に乗せられた俺は、寄せられた圭ちゃんの顔に両手を広げて抱きついた。
「………会いたかった。俺……ずっと圭ちゃんに会いたかった!」
堪えきれずに泣き出した俺の体を、圭ちゃんが優しく撫でる。なんだか体全体を揉まれてる感じでちょっと不思議な気分だった。
「陽介、泣かないで。俺も会いたかった」
溢れる涙を必死に拭っている腕を圭ちゃんに退かされる。
「ほら顔……ちゃんと見せて陽介」
涙でグショグショの顔を見られるのは恥ずかしかったけど「ちっちゃくてよく見えねえ!」なんて笑う圭ちゃんにつられて俺も笑った。
嘘みたいだ……
圭ちゃんが目の前に、本当にここにいるんだ。
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