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不思議なXmas⑦/待てるから……
圭ちゃんがバスルームに入ってしばらくたつ。
……ちょっと遅いかな? 大丈夫かな。ちゃんといるよね? 消えちゃってないよね?
不安になり、確認したいけど俺はこの広大なベッドから降りることも出来ない。不安になりながら、俺はバスルームの方を見つめていた。
「………… 」
ふとまた視線を感じ、恐る恐る振り返るとさっきのオッさんがこちらを見ている。
……すげぇ笑顔だし。
またなにか話しかけられるかな? と思って俺は黙っていたけど、奴は何も言うことなく気付いたら消えていた。
なんだったんだろう。
やっぱりちょっと気持ち悪くて身震いした。
それからすぐに圭ちゃんがバスルームから出てくる。
やっぱりちょっと元気がない。
「圭ちゃん、こっち来て……」
俺が呼ぶと、黙ったまま俺のそばに腰掛ける圭ちゃん。
「せっかく会えたのに俺がこんな姿じゃ、嫌だよね?」
そう言うと慌てた感じで首を振った。
「そんな事ないっ……!」
……うん、わかってるよ。俺がこんな事を言ったからか、今にも泣きそうな顔になってしまった。
「圭ちゃん、ちょっと横になってよ」
不思議そうな顔をしながら、圭ちゃんは言われた通りにベッドに横になってくれた。俺はその圭ちゃんの胸によじ登り、そこに抱きつくように俺も横になる。
「なあ圭ちゃん?……俺ら別れたでしょ? でもさ、ごめん……俺、圭ちゃんにキスしたい」
既に涙目になっている圭ちゃんの唇に両手でそっと触れる。
「………… 」
反論もなくジッとしたままの圭ちゃんの唇に、俺は軽くキスをした。
「……圭ちゃん?」
見上げると圭ちゃんの目から一筋涙が溢れる。
「………… 」
黙ったままの圭ちゃんに俺は続けた。
「俺さ、圭ちゃんと別れてから……どうしようもないんだよ。待たなくていいって言ったけど、無理だ。俺、圭ちゃんの事待っていたい。毎日が張り合いなくてさ……待たせてくれないかな? ……恋人としてさ。心配はいらないよ、俺いつまででも待てるから」
圭ちゃんの頬を撫でる。
それでもまだ圭ちゃんは黙ったまま。
どれだけ頑固なんだよ。
泣いてるくせに。
もう一度、圭ちゃんの唇に触れる。
「ねぇ……俺らもう一度始めようよ。夢のようなこの状況なんだからさ、ちょっとは素直になってもいいんじゃない?」
俺が笑いかけたらやっと圭ちゃんは俺の事を見てくれた。
「……待っててくれるの?」
「当たり前だろ! 圭ちゃんが待ってろって言うなら俺は待つよ」
泣きながら笑ってる。
「俺……陽介の事半分諦めてた。何しててもやる気起きなくて、もう帰れなくてもいい……そんな風にも思ってたかもしれない。そんなだから俺の所に現れてくれたんだろ? ごめんな。俺、自分で思ってる以上に弱かった。でも陽介が待っててくれるって思えたら頑張れる」
泣きながら俺に言う圭ちゃんを見つめながら俺は頷く。
「別れようなんて言って……ごめんね。俺、今でもずっと……陽介の事、愛してる。俺の所に来てくれてありがとう……」
そう言った圭ちゃんは、俺に抱きつきキスをした。
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