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屋上その後⑥/康介の誤算

超特急でシャワーを浴び、タオルを巻いてバスルームを出る。 ベッドを見ると修斗さんの姿がない。一瞬、俺を置いて帰ってしまった?なんて最悪な事態が頭を過った。でも修斗さんに限ってそんな酷いことをするはずもなく、よく見るとベッドの頭のあたり……ベッドの横でこちらに背を向けしゃがみこんでいるのがわかった。 「……? 修斗さん?」 俺が背後から声をかけると、分かりやすいくらい体をビクッとさせ慌てた様子でこちらを振り向く。 「あ……もう出たの?」 「何やってんすか?……あ! これ」 修斗さんを見ると、見るからにエロい赤いレザーの手枷を持っている。修斗さんはベッドの脇にしゃがみこみ、俺を見るなりそれから手を離した。 カチャリと小さな音を立て、ベッドに長いチェーンで繋がれた手枷が下に落ちる。 「修斗さん! ねぇそれっ!」 「ほらみろ!……嫌だよ! 俺はしねーよ!」 まだ何も言ってないのに、俺が言おうとしたことがわかったのか怒った修斗さんは俺を睨んだ。 きっと修斗さん、手枷に気が付いて自分がやられるかもしれないって思ってコソコソ隠そうとしてたんだ…… ……可愛い。 それにしてもこんなのあったんだ。気づかなかった。せっかくあるんだから活用しないと勿体無い。 「しましょうよ、ねぇ? 片手だけでもいいから。拘束させてよ。修斗さん」 嫌だと言いながらも何か期待したような目で俺を見るから、あともうひと押し! と思ってしつこくお願いしてみる。修斗さんはこういう押しに弱いの知ってるんだ。 「嫌だったらすぐに外しますから。ね? 前にも一回やったでしょ? 縛って目隠しプレイ……そうだ、目隠しもさせてください! あの時修斗さんも感じてたでしょ? ね? ちょっとだけ……ちょっとだけでいいからやらせて……」 あの時の修斗さんを思い浮かべる。俺の好きにしていいって言って、めちゃくちゃエロかったんだ……最後やり過ぎて怒られたけど。 いつの間にかベッドの上にちょこんと座り、真っ赤な革の手枷を手にして黙り込んでる修斗さんがもう可愛くて、今すぐにでも押し倒して拘束してやりたい衝動に駆られる。 「修斗さん赤い手枷、似合ってます!」 思わずそう言ったら睨まれてしまった。 「わかったよ……そんなに言うなら使ってみるか。目隠しも。エロい事、やりたい放題だもんな。康介のスケベ……」 色気のある目で俺を見つめ、擦り寄ってくる修斗さん。 そっと手首を撫でられて、いやらしくキスをされた。修斗さんはキスが上手い。キスだけでもう堪らなくなってしまう。 またヘロヘロになるまで修斗さんのことを抱けるんだ! トロトロな修斗さんの表情を思い出し、俺は心の中で盛大にガッツポーズを決める。思いの外すんなりと承諾してくれたのが嬉しくて、早速目隠しには何を使おうかとあたりを見回し、タオルを一枚取りに行こうと俺は立ち上がった。 ……? ……?? 立ち上がったものの、何かに手首を引っ張られて進めない。まさかと思いその何かを見てみると、修斗さんを拘束するはずの真っ赤な手枷が俺の手首についていた。 あれ? なんで?

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