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屋上その後⑨/逆転
「ん……もういいや」
不意に修斗さんは腰を引き、俺の上から降りてしまう。そのまま俺のを手で扱きながら、修斗さんは自分の後ろに手を伸ばした。
あ……
「修斗さん待って、俺が解してあげるから手を解いてください。ね?」
堪らない表情を浮かべ自分で後孔を解し始める修斗さん。
こんなの目に毒すぎる……
「やだ……んっ……待ってて……今挿れてやるから……あぁ、もういいや……早く挿れたい…… 」
たいして解してないのに修斗さんは俺のちんこにローションを纏わせるとその上に腰を下ろしゆっくりと沈ませてきた。
「修斗さん……きつ……焦んないでいいから……んっ、俺が解してやるって……もういいから、待って!」
積極的でエロい修斗さんもいいけど、やっぱり一方的すぎる。
「やだ…… 」
「修斗さん、いいから早くこれ外せよ!」
イラッとして思わず声を荒げた。手枷の鎖が派手に音を立て、驚いた修斗さんの動きが止まる。
「……ご、ごめん康介」
シュンとして手枷のベルトを外し始めた修斗さん。慌てて俺は修斗さんを抱きしめた。
「やっと触れた……ごめんね、大きな声出して。もう充分責められたから今度は俺の番です」
自由になった両手で思いっきり修斗さんの手首を捕まえてベッドに押し倒す。噛み付くようにキスをして、滾ったそれを腰に押し付けると途端に可愛く吐息を漏らした。
……やっぱりこうでなきゃ。
「ダメだろ? ちゃんと解して……もっとトロトロにしないと。痛くなっちゃうだろ? 俺にちゃんと弄らせてよ。足……開いて?」
そう言って指を這わす。
積極的な修斗さんもいいけど、こう大人しく俺の言うことを聞いてくれる修斗さんの方がいい。
充分にほぐれたそこに、俺自身をあてがうとギュッと抱きついてきた。
……可愛い。
「挿れていい? 久しぶり……ですね。修斗さん愛してる……愛してる」
修斗さんの頬がぶわっと赤くなるのがわかった。カッコつけて「愛してる」だなんて、声に出して言うのはやっぱり恥ずかしくて照れくさい。俺はそんなガラじゃない。でもこれからはちゃんと伝えたいと思ったんだ。
「う……んぁ!……康介……はっ……康介………んん」
グッと一気に奥まで押し入ると、しがみついていた手に力が入ったのか、体を縮こまらせた修斗さんは俺の背中に爪を立てる。
「あっ……あぁ……康介、康介……好き、康介……んんっ」
背中の鈍い痛みに熱が篭る。修斗さんの俺を呼ぶ擦れた声に、その熱が快感に変わっていった。ここまでくるともう止められない。激しく突けば突くほど修斗さんは激しく喘ぐ。でも今日は特別……
「やっ……激しすぎっ……だってば……ひぁっ……あっ!……あっ……ひっ……もう……やっ……んん……イッたから……やっ……俺、もうイッたから……」
喘ぎすぎてもう既に声が擦れ始めている修斗さんの腰が逃げる。もうイッたから……と訴えてるけどわかっている。前弄ってないのにイッた修斗さん見て嬉しかった。既にイッてしまったからか、修斗さんの体はビクビクと時折痙攣をおこしている。それでも腰を持ち更に奥までグラインドをすると、修斗さんは声にならない声をあげ、体を捩り俺から逃れようと背中を見せた。
「ダメだよ、逃がさない」
俯せでそのまま逃げようとする修斗さんの肩を捕まえ強引に後ろから侵入させると、あっ……と小さく声を漏らし、諦めたのか抵抗を緩めた。
「まだ俺イッてない……修斗さん……背中も綺麗」
ゆっくりと腰を奥まで押し込み、首から肩へとキスをする。その度にビクッと小さく反応を見せる修斗さんが可愛くて、俺はそこら中にキスマークを付けた。
「康介……も……無理……んっ……あぁ…… 」
修斗さんは枕に突っ伏してもうぐったりとしている。可愛く盛り上がった修斗さんの尻たぶを両手で揉みしだきながら、俺はやっと満足して欲を吐き出した。
やり過ぎて動けなくなってしまった修斗さんの体をひとまず軽く拭いてやり、湯船に湯を張りに行く。そして冷蔵庫に冷やしておいたスポーツ飲料を修斗さんに渡した。
「………… 」
無言で受け取るも起き上がれないのか枕元に置いて布団に潜ってしまった。俺はそんな修斗さんを抱きしめる。
「体痛い……声でない……康介のばか」
「ごめんなさい」
「でも好き」
いつもならこんな時しばらく怒って不機嫌なのに、今日ははにかんだ顔を見せてくれた。
俺を抱きしめた修斗さんは背中に手をまわす。修斗さんが引っ掻いた背中の傷に気がついて申し訳なさそうに謝ってくれたけど、それ以上に派手に付いた修斗さんの背中のキスマークに比べたらどうってことない。
でもこれは言ったら怒りそうなので黙っておくことにした。
二人で一緒に風呂に入り、何度もキスをしながら抱き合って眠る。
次の日も昼くらいまでいちゃいちゃしてから、丸々一日デートをして家に帰った。
今日からまた新しく修斗さんとの毎日が始まるんだ。
これからもずっと一緒だよ。
そう二人でまた約束をして、そして心配をかけてしまった周さんと竜にもちゃんと二人で謝まろうって話をした。
──屋上その後 康介&修斗 終わり──
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