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初めての…①/譲れない戦い
祐飛が俺のベッドの上に座って俺を睨んでいる。
そんな可愛い……もとい、そんな怖い顔で睨んできたってこればっかりは譲れない。
どう考えてもここは俺だろ?
「そりゃ周さん達みたいな体格差がありゃわからなくもないけど、俺たちはたいして変わらねえんだから……」
「いや、でもここはやっぱり……」
こうやってさっきから同じ問答を繰り返してる。全然埒があかない。
めでたく祐飛が俺の事を認めてくれて、俺と祐飛は恋人同士。恋人同士が夜一緒にベッドに入ってする事といったら……だろ? めちゃくちゃ緊張しながら、まずはシャワーだなって時に、祐飛が信じられない事を言い出したんだ。
いい雰囲気でベッドに座り抱き合ってキスをして……とにかく俺は初めてだったから、そんなキスだけでこの先の事を想像して緊張で手が震えてしまった。でも俺がガチガチになって祐飛に嫌な思いをさせちゃダメだと思って言ったんだ。
「俺……優しくするからさ、下手くそかもしれないけど……痛くないように頑張るから。祐飛が先にシャワーいっていいよ」
黙ってたって俺が初めてだって事なんか祐飛にはバレバレなんだ。だから正直にそう言って緊張を解こうとしたんだけど、きょとんとしている祐飛から出た言葉に俺の方がびっくりしてきょとんとしてしまった。
「え?……直樹は俺に挿れたいの?」
「………… 」
え?
なんの疑いもなく俺が祐飛を抱くものかと思っていたんだけど……
「何で俺がやられる方なの? 俺も直樹のこと抱きたいんだけど……てか抱かせろよ」
今までに見たこともないような男前な顔で俺の顎にそっと手をやる祐飛に、不覚にもキュンとして頷きそうになる。そのまま素敵な雰囲気で押し倒されそうになるのを慌てて堪えた。
「や! ちょっ?……待って! やめて! すげえキュンとしちゃったじゃんか! バカっ! 祐飛のバカっ、違うだろ?」
だってだって! 俺が祐飛に抱かれるなんておかしいだろ?
「祐飛いつも酔っ払って甘えてきたり、俺に可愛く抱きついて眠ったりしてたじゃん! 祐飛の方が可愛いんだから! ないないないない! イメージ違う!」
俺は慌てて祐飛の意見に反対する。
「それは関係ないじゃん。イメージってなんだよ! 俺だって男じゃんか」
嘘だろ……まさかポジションで揉めることになるとは思わなかった。
「ならジャンケンする?」
「は? やだよ! ムード! そんなのムードない! 祐飛のバカ!」
あー! やだやだやだ!
祐飛さっきから俺見てちょっと笑ってるんだよ。きっと面白がってわざとああ言ってんだ……
でもやっぱりこればっかりは譲れないよ。
「祐飛お願い。抱かせてよ……ね?」
目の前に座る祐飛の手を取り、その甲にキスをする。
祐飛の男前な表情が一転して、少し考える風な顔を見せた。
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