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初めての…④/余裕ない

「あ! ごめん祐飛、俺何すればいいの? あ……あ、ごめん」 突然乱入してきた直樹は、勢いよく入って来たものの目のやり場に困ったのかオロオロと視線を泳がす。 それにしても「何すればいいの?」って……何? 「直樹も一緒に入る?」 そう言って、俺はパンツ一丁姿の直樹にちょっと見惚れる。運動をしない俺と違って逞しい体。でも直樹が勃起してるのに気がつき、俺も目のやり場に困りオロオロしてしまった。 「も……もうすぐ出るから、ごめん、部屋で待ってて……何もしてなくていいから、俺の後にシャワー浴びて」 慌てて俺も直樹から視線を逸らす。 ダメだ……ほんと、こういうの恥ずかしい。何「一緒に入る?」なんて言ってんの? 無理でしょ、恥ずかしい。 直樹が出ていき、改めて自分の尻に指を伸ばす。一瞬だったけど、直樹に見られたかな? 湯船の中だし直樹も相当テンパって入って来たから気づかれてないよな。 でも、本当にするのかな。 なんかもうドキドキしちゃってダメだ。 自分で解す、この感じ……やっぱりあまり好きじゃない。 「もういいや。どうにでもなれ」 湯面に向かって小さく呟き、俺はTシャツに下着姿で直樹の待つ部屋へと戻った。 直樹の部屋に入ると、真面目な顔をして直樹がベッドに座ってる。よかった。ちゃんとTシャツも着てる。 「お……お待たせ。シャワーどうぞ」 「………… 」 直樹は黙ったまま立ち上がり、部屋から出ようと俺の横を通りすぎる。すれ違いざま、俺の頭をふわっと撫でた。 「ごめんね祐飛。緊張して、俺余裕なくて……」 直樹は耳まで真っ赤にして、目も合わせずに小走りでバスルームに行ってしまった。 「なんだよ……俺だって余裕ないっつーの」 自分の余裕のなさもちゃんと言えちゃう直樹の方がよっぽど潔いって思う。俺は直樹が戻るのをベッドの上でじっと待った。 直樹が出て行って五分も経たないうちに部屋のドアが開く。 「お、お持たせ!」 「……早すぎね?」 五分もって言ったけど、きっと三分くらいだ。そのくらいあっという間だった。「お待たせ」って、全然待ってねえし……自分を落ち着かせる暇もなかったよ。 「ほんと、余裕無さすぎ……」 直樹に向かって手を伸ばす。照れ臭そうな顔をした直樹が俺の手を取り、ベッドに座る俺の横に腰掛けた。 「祐飛も緊張してる?」 「……してるよ。直樹……俺の緊張、解して」 言いながら俺は直樹に唇を重ねる。直樹はすぐに舌を絡めて体に手を這わせてきた。 「ゆっくり……祐飛のこと、堪能させて」 とん……と優しく押し倒される。初めてとか言って、全然俺なんかより余裕に感じる。自分の事より俺のことを気遣ってくれてるのが凄く伝わってきて、やっぱり俺って愛されてんだなって安心した。

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