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初めての…⑦/恐怖心
直樹のやつ、慌ててたりどぎまぎしてたり、童貞丸出しな感じだったのにいざ始まってみたら積極的すぎて俺の方がどうしていいのかわからない。
気がつけば俺だけ裸にさせられていた。
他人の前で全裸になったり臭いチンコ咥えさせられたり、無理やりケツに挿れられたり……セックスさせられたり。
思い返すと泣きたくなってくる程、酷い記憶。
直樹は俺を見てどう思うのだろうか。
好きな奴に触れられれば気持ちがいいに決まってる。幸せに感じるのだってわかってる。愛されてるって分かるほど、過去の自分を消したくなる。
それなのに、直樹は俺の汚いところにどんどん踏み込んでくる。散々俺が嫌悪した行為を直樹がしてくる。
瞬間、怖くなった……
俺を気持ちよくするために無理してんじゃないかって。本当は気持ち悪いって思ってるのかもしれないって。直樹から与えられる容赦無い快感に飲み込まれそうになりながら、俺はそっと直樹の顔を盗み見た。
そこに見えたのは顔を紅潮させ、嬉しそうな表情の直樹。
「辛くないようにね、いっぱい解してあげるから。だから……祐飛のここ……指入れていい?」
俺の両脚を持ち広げ、俺の尻を舐めながら優しい声で囁くようにそう言った。
……どこに向かって喋ってるんだよ。
怖かったけど、やっぱり直樹は直樹なんだ。ずっと俺の事を好きでいてくれてた直樹を俺が信じないでどうすんだよ。直樹の態度で怖がらなくていいって伝わってくる。愛してるって伝わってくる。
自分に自信が持てないでいたけど、直樹の前では俺は一番なんだ……緊張しながらも俺を愛してくれてる直樹に委ねようって決心した。
それにしても直樹は俺を気遣ってか、一々これからする事、したい事を聞いてくる。
羞恥プレイかよ。
凄え恥ずかしいんだけど……
でも、解してやるからって言いながら、そのまま指を突き立てられハッとした。
「だから、いちいち聞くなって。でも……その……準備あるの?」
俺は男だから……
そのままじゃ直樹を受け入れることができない。
わかってんのかな?
直樹はこのまま俺に挿れるつもりなんだろうか。
俺はゴムやローション、用意してない。
キョトンとしている直樹を見て、ああ…今日はお互い弄りあって終わりかな? ってそう思ったら、ちょっと間があってから直樹はドヤ顔で俺から離れ、ベッドの下から箱を引きずり出してきた。
「準備ってこれだろ? ちゃんとわかってるから大丈夫だよ」
直樹のドヤ顔。
癒されるレベルで可愛いんだけど、箱の蓋を開けて目に飛び込んできたそれに俺は一瞬言葉を失った。
「直樹……これ何?」
ベッド下の箱の中に見えたのは、よくあるコンドームとこれまたドラッグストアによくある馴染みのローション。まあその二つは問題はないんだけど、もうひとつが大問題だった。
「準備万端だろ? ちゃんと調べたんだよ」
褒めてと言わんばかりに満面の笑顔の直樹。
「だから! 何なの? この三点セットは!」
……信じらんねえ。
またあの時の悪夢が蘇ってくる。
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