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周&修斗 一泊だけの共同生活 ⑥
康介は元々スポーツに長けていて体を動かすのが好きだ。高校を卒業してからも、大学の友達だか知らんがフットサルなんかもやっている。そして何を思ったのか、ここ最近康介は筋トレを猛烈にやり始めた。
まあ、俺から見ても目に見えて体格も良くなってるし、いい体だと思うよ。修斗もちょっと自慢げだったしな。
「あれはいったい何を目指してんの?」
「知らねーよ。自己満だろ?……カッコいいけどさ」
康介は鍛えて引き締まってきた体を自慢するかのように自分のSNSにアップするようになった。初めこそ上半身だけだったのがここの所は下着一枚の姿だったり、風呂上がりで無駄に雰囲気のある露出系の写真だったり……そして修斗と違って康介のフォロワーは筋トレ馬鹿そうな野郎ばっか。
一見何も害はなさそうだけど、これが竜太だったらと思うとやっぱり心配にもなるってんで、修斗が面白く思わないのは俺にもわかる。
「無防備すぎるんだよ。嬉しそうに俺にも言ってくんだよ? いい体だって褒められた……とか、一緒にトレーニングしようって誘われた、とか。やり取り見てるとさ、外腹斜筋触りたいとか、太腿見たいからズボン脱いだ画像もアップしてとか、そんなのにもホイホイ言う通りにしちゃってさ、俺が注意したって男同士だしって全く気にしてねえんだもん。純粋に筋トレ楽しんでる野郎に混じってゲイもいるから……康介ダイレクトメールでやたら誘われるって言ってんのに危機感なさすぎ」
修斗の心配もわかるけど、まあそんな言ったって康介だろ? 大丈夫だろうって思うけど、好きな奴だから心配なんだろうな。
「俺が女にヘラヘラしてるってうるさいからさ、康介だって同じじゃん!って言ったら、自分は男相手だから問題ないって。俺たち男同士で付き合ってんのに。俺には相手が女だろうが男だろうがうるさく言うくせにさ。自分が同じ男にそういう目で見られることもあるってわかってねえんだよ」
「でもよ、いくら康介がアホでも直接知らない奴に会おうとか思わねえんだからそんな心配しなくても良くね?」
宥めるつもりでそう言ったんだが、睨まれてしまった。
「康介はそんなアホじゃないから! それに、俺は康介がエロい目で見られんのが嫌なの!」
「………… 」
康介なんかに色気もクソもないと思うんだけど、これ言ったらもっと機嫌悪くなりそうだからやめておこ。
「まあさ、それちゃんと康介に言ったらわかってくれるんじゃねえの? お前が嫌だって言えば康介も控えるだろ」
「………… 」
とりあえずこう言うしかねえよな。深刻なことじゃなくてよかったけど、くだらなさ過ぎて面倒くせえ。そろそろ眠くなってきたし。
修斗はテーブルに飲んでいたビールを置くと徐に俺の肩に寄りかかってきた。ソファの上で膝を抱えるようにして座り、全体重をかけてくるから「なんだよ」と修斗を見ると、そのままパチリと写メを撮られた。
「おっ……いい感じに撮れた。これ仕事用のSNSにアップしていい? 周も何気にイケメンだから」
何気にイケメンってなんだよ。画面を見ると、修斗と俺のツーショット。何で修斗はいっつもこんなにあざといポーズなんだろな。めちゃくちゃよそ行きの笑顔で俺に頬を寄せている。俺はと言えばむすっとしたいつもの表情。こんなしょーもない写真でいいのかよって聞いたら、プライベート感が出てるのもどんどん載せろと言われてるらしい。
「こんなの康介見たらうるせえんじゃねえの?」
「そうだよ。絶対康介俺の見てるからヤキモチ妬くだろうね」
何だよ、確信犯かよ。どっちもめんどくせえな全く。
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