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意地悪なのは…⑦/全然足りない
「そんなにしたけりゃ自分ですれば?」
……嘘だろ?
康介の俺を見る冷たい目。冷たい声。悲しくて胸が痛い。
俺の反応に満足したのか、康介は俺から離れベッドに座ったまま壁にもたれる。
恥ずかしい。
何で俺がそんな事を……でも康介に抱かれたい。
「……ごめんな。それで康介が満足……するなら」
顔から火が出そう。でも康介の視線に興奮する。
恥ずかしさを堪え、俺は康介の方を見ずにズボンのベルトに手をかけた。
「……はっ……んっ」
ゆっくりとちんこに添えた手を上下する。はっきり言って俺、自分であまりしないんだ。そう、たまに……たまにするけど。康介と会えない日が続けば寂しくって自分で慰めたりもするけど、結果的に満足出来ないから余計に寂しくなっちゃうんだよ。
折角康介が目の前にいるのに、俺何やってんだろう。
気持ちいいけどこんなの足りない……
康介が弄ってくれるのを思い出しながら、康介と同じように手を動かす。気付けば俺は両手を添えて、亀頭を撫でながら緩々と扱いていた。
「修斗さん、いつもそうやって弄ってんの? なんか可愛い。そんなんで気持ちいいの?」
うるさい、見るな……
康介の荒い息遣いに気がつき顔を上げた。興奮したような顔で俺を見てる。目が合った瞬間、俺は堪らなくなってベッドに顔を突っ伏した。
上半身はベッドに伏せケツだけ上げて、だけど扱いてる手は止まらない。流石に恥ずかしくて康介にケツは向けられないけど、触って欲しい。自分で前だけ弄ってたって満足出来ない……
「康介、康介……」
康介、後ろ触ってくれないかな。色々切なくて、小さな声で康介を呼んだ。
「何? 聞こえないよ。ちゃんといつもみたいに気持ちいい声出してよ。そんなんじゃ許してあげないですよ?」
先走りで手がぬるぬるしてる。クチクチと粘着する音が妙に大きく感じる。段々扱く手に力が入る。
「修斗さん、気持ちがいいの? もっと……そう、俺がするように後ろも弄ってごらんよ。あ、でも自分じゃいいところまで届かないか」
「あっ……あっ……康介……康介」
康介に体を弄られてるイメージが鮮明に浮かんでくる。康介の声が頭に響く。声だけで快感が襲ってくる。恥ずかしいけど、凄く屈辱的なはずなんだけど、中心部から熱が込み上げてくるのがわかった。
ベッドが軋んだ気がして俺は少し顔を上げた。康介がすぐそこにいて俺を見ている。康介の勃起したのが目の前にあったから、思わず触れようと顔を近づける。舐めたい……って口を開いたら強めに髪を掴まれ睨まれてしまった。
「何してんの? 俺のはいいんだよ。早く俺の前でイッてみせろよ」
俺の髪を掴んだまま、怖い顔で康介がそう言う。
「後ろ弄らないとイけない? いや、イケるよね?……修斗さん、今にもイきそうな顔してるもん」
康介の指が俺の唇をなぞったかと思ったら、そのまま口に侵入してくる。俺は貪るように、思わず康介の指を舐めていた。
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