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僕らの卒業旅行 ③
「なんでみんな一緒の部屋なんだよ!」
「まあまあ……いいじゃん広い部屋で」
ホテルに着き、部屋に案内された僕らはとりあえず荷物を置く。予約をしてくれた直樹君は、六人で一部屋をとってくれていた。和洋室の広い部屋だ。洋室にベッドが二台あるから奥の和室には布団を敷くのかな。
周さんはみんなで一緒の部屋だというのが気に入らないらしく機嫌が悪い。傍で修斗さんが宥めてる。僕と康介はあちこち歩き回って部屋をチェックしていた。
六人で泊まれるだけあって広くて綺麗な部屋。和室の窓からの景色がまた綺麗だった。
「普通カップルで部屋とるだろ」
「だって俺と祐飛はつ、付きあってないし……!」
まだ文句を言ってる周さん。色々手配してくれた直樹君に申し訳ない。友達同士で旅行ならみんな一緒の部屋だって思うでしょ。いい加減にして……と言おうと思い周さんの元へ戻ると「そんなの関係ねえよ。これじゃ思いっきりエッチできねえじゃんか」なんて溜息を吐きながら周さんは項垂れた。
「ちょっと! 周さんっ!」
急に恥ずかしいこと言わないでほしい。修斗さんは隣で笑ってるし、康介は康介で「みんないるのにヤルつもりなのかよ」と言って呆れてる。
「エッチって……去年の卒業旅行思い出すな。ね、竜太君?」
「……し、しませんから!」
修斗さんの言葉に去年の周さん達と行った卒業旅行を思い出し顔から火が出る。あんな醜態二度と晒せない。康介も思い出したらしく、僕の顔を見て複雑な表情をした。
「な……なんかよくわかんねえっすけど、破廉恥なのはダメですからね!」
直樹君まで赤い顔をしてそんなこと言うもんだから、修斗さんは破廉恥という言葉が面白かったらしく直樹君を見てクスクス笑ってるし周さんは不機嫌だし、康介は僕から目をそらすしちょっと変な空気になってしまった。
もう! 何なの!
「まだ夕飯まで時間あるし、温泉! 行きましょ!」
僕は話題を変えたかったのもあり、そう言って周さんの荷物と自分の荷物を手に取り風呂に行く準備をした。周さんも少し機嫌も戻り僕と一緒に大浴場に向かう。康介と修斗さん、祐飛君も後からすぐに来たけど直樹君の姿はなかった。
「直樹君は来てないの?」
「あ、なんか明日の予定確認するし、寝る前に部屋の風呂入るからいいって……」
服を脱ぎながら祐飛君に聞くと、横で修斗さんが笑った。きっと祐飛君見てムラムラしちゃうから来られないんじゃないの? なんて僕にこそっと耳打ちしてきたけど、すかさず祐飛君に睨まれてしまって修斗さんは素直に謝った。
「ほんとそういうの不愉快なんでやめてください」
祐飛君が不機嫌丸出しで修斗さんにそう言った。うん、これは修斗さんが悪いよね。
祐飛君に気を使って来られないのなら後で一人でくればいいし、部屋に戻ったら直樹君にそう言ってあげよう。こんなに気持ちのいい温泉、入らないのは勿体無い。運が良かったのか他のお客さんとも会うこともなく、僕らはほとんど貸切状態で露天風呂を堪能した。
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