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僕らの卒業旅行 ⑪

「ちょっと、周さん捕まえて! 俺も抱っこしたい!」 あまりにもすばしっこく手に負えない康介が周さんに泣きつき、やっとの事でモルモット一匹を抱っこすることに成功する。修斗さんは康介とモルモット達の追いかけっこがツボにはまったらしく笑いが止まらないでいた。 「捕まえるもなにも……別にこいつらすばしっこくもねえぞ?」 「ちょっと周さん、抱き方が雑!」 足元に来た一匹を難なく捕まえ乱雑に康介に手渡すものだから、慌てて飛んで来た飼育員のお姉さんに「大人なんだから子どもたちのお手本にならないと!」と周さんは軽く怒られてしまっていた。 「マジ、周……勘弁して、ひぃ……面白すぎる。怒られてやんの!」 笑い過ぎて涙まで流している修斗さんを柵の外から冷めた目で見ている祐飛君と直樹君に気がつき、僕は手招きして二人も中に呼び入れた。そして皆んなで餌やりを楽しんでから動物園を後にした。 「あれ? 修斗さんもう寝ちゃったの?」 車に揺られ、まだ出発して五分も経ってないのに、康介に思いっきり体を預けるようにして眠ってしまっている修斗さん。僕はミラー越しに康介に話しかける。 「あんなにバカみたいにはしゃいでんだもん……疲れたんじゃね?」 さり気なく修斗さんの顔にかかっている髪を指で退かしながら、康介が笑った。 「いっつも賑やかだけど……今日はいつも以上だよね。修斗さん楽しそうで僕もそれにつられて数倍楽しかった気がするよ」 「あ……うん、それな。へへ……」 「……?」 何故だか康介は恥ずかしそうに何か言いたげな顔をするから、後ろを振り返り康介の顔を見る。僕が言いたいことがわかったのか、康介は顔を赤くして話を続けた。 「修斗さんさ、動物園初めてかも……って言ってたじゃん? 修斗さん今までいっぱい遊んで来たから、未体験な場所に初めて行くのが俺と一緒でめちゃくちゃ嬉しいって、テンション上がるって言ってて……だからあんなにはしゃいでんの。コソッとそんな事を内緒話されてさ、ヤバくね? 俺そんなん言われてあんな可愛い修斗さん……可愛いの暴力だよ……やべぇ、もう大好き……堪んないよな」 「………… 」 後半よくわかんなかったけど、康介も嬉しそうだ。でも修斗さんの言ってた事、僕もよくわかる。後ろで聞いていた直樹君がクスクスしながら「康介君のデレ、気持ち悪い」と小さな声で笑った。 ホテルに戻り、夕飯の時間まで温泉に入ったり土産屋さんに行ってみたり各々自由に過ごす。僕も周さんと一緒に温泉に入り、買い物を楽しんだ。 「……周さん? 疲れちゃいました? 少し寝ますか?」 さっきから口数が減っている周さんが気になって顔色を伺う。部屋に戻ったものの、他のみんなはまだ戻ってないみたいで誰もいない。 「別に……」 別に、なんて言いながら、顔は何だか不機嫌そう。どうしたのかな? って思って僕はソファーに座る周さんの隣に腰掛けた。 「えっ? ちょっと?……待って待って! 周さんダメ……んっ」 僕が座った途端、周さんにのしかかられ押さえつけられてしまう。あっという間にキスをされ、訳がわからないまま僕は周さんにしがみついた。 「……竜太不足! 一緒にいんのに、なんか足りねえ。エッチしたい」 「は? なに言ってるんですか! 無理でしょ、やめて……あ……ちょっと……待って……ひゃあっ」 強引な周さんにドキドキするもののやっぱりここじゃダメだし、僅かな理性が気持ち良さに負けそうな僕をなんとか奮い立たせ周さんに抵抗する。シャツの中に突っ込まれた手を頑張って押し返し、周さんに落ち着いてもらうために僕の方からキスをした。

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