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頼りになるのは……⑤

「周さん……ダメっ、もう! 僕の風邪うつっちゃうから」 熱のせいか、絡む竜太の舌も熱い。ダメだと言う顔も火照って赤く染まってる。ダメだって言いながらも離れる気は無いらしく竜太は俺にしがみ付いたまま。だから俺はそのまま寝室まで足を進めた。 「あっ……ん」 ベッドに竜太を押し倒す。フラつくからか殆ど抵抗をしない竜太。それでもまたキスをしようとするとイヤイヤと首を振る。いちいち反応が可愛いな、なんて思いながら、もう抑えきれずにスウェットの中に手を突っ込むと竜太に手を掴まれとうとう拒否されてしまった。 「ダメですって、周さん、僕の風邪……うつっちゃうから。ほんとやめて。ね……僕まだちょっとしんどい」 あ! そうだった。竜太、熱出してんのに、ついさっきまで辛そうにしてたのに、俺ってば自分の欲ばっかりで何やってんだ。ムラムラしちゃって抑えきれなかった。 「わかった…そうだよな、ごめんな」 俺は体を離し、竜太に改めて布団を掛けてやった。キスをしようとすると怒るから、可愛い額にチュっとやる。俺の心配ばっかりする竜太に、そんな竜太の風邪菌くらいじゃどうもしねえと笑ってやった。でもほんと、ここしばらく風邪ひとつひいてなかったから、全くうつる気がしなかった。 「食欲は? アイスもあるけど……」 「あっ、アイス……食べたいです」 竜太はせっかくベッドに入ったものの、また起き上がりアイスが欲しいと目を輝かす。これだけ元気そうならもう大丈夫だよな。俺が買ってきたアイスを竜太の前に並べてやると、竜太は散々迷ってからチョコのアイスを手にとった。 「………… 」 お粥はしくじったけど、これなら俺が食べさせてやれるんだけどな。そんな風に思いながら竜太をジッと見つめていたら、そんな俺の考えを察したのか恥ずかしそうに竜太は俺にスプーンを差し出した。 「あ……アーンしてください。恥ずかしいけど。いいですか?」 スプーンに掬い竜太の口元へアイスを運ぶ。その度に俺の顔を恥ずかしそうにチラッと見る竜太がなんだかエッチでドキドキしてしまう。 「周さん、ふふ……口、ポカンって開いちゃってる」 「う、うるせえな。しょうがねえだろ、竜太の食い方がエロいんだもん」 マヌケ顔を見られて俺の方が恥ずかしい。 首元が捻れた俺のスウェット。少し汗ばんだ竜太の鎖骨まで丸見えで、いちいち俺の顔を伺いながらスプーンのアイスを舐る竜太が堪らなくエロいって思ってしまうのはどうしようもない。何度もムラムラするのを抑えながら、俺は何とか看病に徹した。

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