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賑やかなクリスマス⑤/パ—ティ準備
「いっぱい買ったねぇ。りゅうたくん、ケーキ作れるの? すぐにやる?」
買い物も済ませ、帰宅する。尚ちゃんも軽い荷物を持ってくれて「ふう、疲れた」なんて言いながら玄関にぽいっと置いた。
「そうだね。まずは手を洗ってからにしようか」
「うん! 尚もお手伝いできる?」
「もちろん。そのつもりだよ。手伝ってくれるよね」
なんでも興味津々で、人懐こく寄ってきてくれるから僕も嬉しい。周さんも普段は何もしないけど、今日は尚ちゃんの手前、進んで手伝いをしてくれた。
大きな男三人と小さくて可愛い女の子。少し狭く感じながらキッチンに並び僕たちはケーキを作る。周さんと康介に至っては不器用さが手伝ってか尚ちゃんの方がよっぽど上手で、結局飽きてしまった周さんは部屋に入って昼寝を始めてしまった。
「パパはね、すっごくお料理が上手なんだよ」
「そっかぁ。パパはお料理のプロだもんね。いつも美味しいご飯、羨ましいな」
「でもママも上手」
「そうなんだ。尚ちゃんも普段もいっぱいお手伝いしてるんだね。クリーム混ぜるのも上手だ」
時折手についたクリームを舐めながら小さな手で一生懸命作っている姿を見て僕は心が癒される。隣では康介も尚ちゃんと同じく顔と手にクリームをつけたまま、つまみ食いに専念していた。
苺と生クリームのシンプルなケーキ。不恰好ながらも自分たちで作り上げたということに尚ちゃんも嬉しそうで、いい思い出になるといいなって思う。ケーキの完成の後も、尚ちゃんと二人でサラダを作ったり、買ってきたチキンに手を加えてテーブルセッティングをする。康介はケーキ作りで力尽きたのか、ソファに座ってダラダラしていた。大したことしてないのにね。
買ってきた折り紙で尚ちゃんが飾りを作る。幼稚園でもやったことがあるらしい。得意気に僕に教えてくれる尚ちゃんと顔を付き合わせて一緒に作っていたら、周さんも部屋から出てきて「こういうの懐かしいな」と言いながら手伝ってくれた。
一通り部屋の飾り付けを終えた頃、修斗さんも仕事を終えて合流する。また「初めまして」の人が現れ緊張したのか、尚ちゃんは康介の背後に隠れてしまった。
「そこの可愛いレディは誰かな?」
少しわざとらしく修斗さんが尚ちゃんに話しかける。「顔を見せて」と言われ、おずおずと顔を出した尚ちゃんに、修斗さんは進んで自己紹介をした。
「周の妹ってのがびっくりだけど、ほんと可愛いな。尚ちゃんモテるだろ? 将来が楽しみだね」
おいでおいでをしながら修斗さんは「抱っこしてもいい?」と許可をとってから抱き上げる。尚ちゃんは修斗さんに抱きつきながら頬を寄せ「尚は今も可愛いのよ」と言って笑った。
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