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第3話
普通、攻め役の撮影は、先輩に教えてもらい、慣れたころに同い年の相方と、そして年下へと順番に進んでいくものだけど…
ユウの場合…
「…次の相手、年下なんです」
ぽつりと答えるユウ。
「えっ…いきなり?」
ルキも多少驚く…
「……」
ユウは静かに頷く。
「だから、そんなに真剣なんだ…いきなり後輩相手で不安で、緊張してるんだね」
「……」
ルキの言葉に短く頷く。
それは、気心の知れたヨシとの撮影の方が、幾分気が楽なのは事実で…
話したこともないような年下との撮影は不安だらけなのだ…
「うーん、じゃ、もうひとつだけアドバイスすると、ユウちゃんはまだ少し勢いというか…押しが足らないから、それをよくすればNGも減ると思うよ?」
そう教えてくれる。
「はい…」
それがなかなかできないから、NGを出してしまうのであって…
「次は、主導権を握って、リードしてあげないとね…がんばって、ユウちゃん」
軽くプレッシャーをかけられてしまうユウ。
「はい…」
それに頷き…
もう一度ルキにお礼を言って撮影ルームを出る。
軽くシャワーを浴びて、大部屋のロッカーに置いてある自分の荷物を取りに行く。
「ユウ!今から帰り?駅まで一緒に帰ろうぜ!」
そう、声をかけてくるのは相方のヨシ…
だいたい撮影後、年少の友達と話しながら待っていて途中まで一緒に帰るのだ。
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