5 / 74

第5話

「こいつムカつくよな」 ユウの呟きを拾ってヨシが言葉をだす。 「知っているのか?」 「うん、かなり前だけど、大部屋で年下のみんなと話してる時、何回かサクヤも誘ってやったのに、ぜんぶ断るんだぜ、ムカついたからアイツはもう誘わないんだ!」 なんだか憤慨した様子で言うヨシ… 「……」 「つんけんしてるくせに、ランキングはオレたちより上なのはムカつくだろ。髪の色と目の色が珍しいだけなんだ、演技とか絶対オレらの方がうまいもんな!」 ヨシはそう言うと掲示板の前から歩き出す。 ユウも付いて歩いていく… 「人気があるから…オレの撮影相手になったのか…」 ユウは少し納得したように言う。 年下であろうと人気が出た者は撮影が増えてゆくのだ… 「え?…ユウ、次の撮影、先輩とじゃないの?」 ヨシは驚いて聞き返す。 「そう、あのサクヤと…」 頷くけれど、ユウは撮影後すぐ帰ってしまうサクヤをほとんど見掛けたことがないし話したこともないのでわからないのだが…そう答える。 「嘘、なんで?先輩の撮影が終わったら次はオレたちの番のはずなのに…」 ヨシは顔をしかめて言う。 「オレも、そう思っていたけど…」 今日来たときに社長から言われたので間違いない… 「むかつく!パートナーを差し置いて撮影だなんて、しかもサクヤとか!」 ヨシはかなり面白くないという表情… 「怒っても仕方ないよ…オレたちは決められた撮影をするだけだから」 ユウは、そんなヨシをなだめるように言う。 ここはそういう決まりだから、どんな撮影だろうと、文句をつけることは出来ない…

ともだちにシェアしよう!