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第10話

姉の手を引き…走って、走って… 辿りついたところは…いつも身を隠す公園…。 「…はぁ、はぁ…っ」 息が切れて、大きく息を付く… そこへ…不意に声がかかる。 「どうしたの?…大丈夫?」 優しい声だ。 「…こ、コウヤさん」 少し驚いた風に声をかけてきたのは、公園でよく会い、だいぶ打ち解けてきていたコウヤ… 姉と同い年の高1であるにもかかわらず、髪を茶色く染め、今も煙草を吸っている。 何も言えずにたたずんでいる2人を見て、コウヤは… 「おいで、お姉さんかな?」 気付いて声をかけるコウヤ… 「……!」 声をかけられよれた服を掴みビクッと身体を震わす姉… その様子を見て、コウヤは… 「…座って、俺は、コーヒーか何か買ってくるよ…」 すっとベンチから離れて、姉に自分の上着を羽織らせて笑顔で去るコウヤ。 「……」 優しく微笑まれて… 少し驚いたような顔をした姉だけど…強張った身体は緩和されていた。 「……」 その、2人の雰囲気に…軽く嫉妬のような気持ちを感じてしまうみずき。 姉の手を引き…ベンチに一緒に座る。 しばらく無言だったけれど… 「ごめんね…みずき」 不意に姉が謝ってくる。 「姉さんは悪くない、悪いのはアイツだから…謝らないで」 みずきは一生懸命、気落ちする姉を励ます。

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