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第13話
「いた…って?」
「うん…もう、死んじゃったんだ…去年」
口調は変えず柔らかく言うコウヤ。
「え…っ」
それを聞いて、驚いてみずきは止まる。
穏やかに微笑んだまま…感情の読み取れないコウヤの表情…
コウヤは、みずきを見つめたまま…静かに語る。
「…人はね、いつかは死んでしまうんだ。だからね、大切な人には優しくしてあげないとだめなんだ…そうしないと本当に後悔するから…」
まるで、自分の体験を聞かせるように言うコウヤ…
「分かったかい?」
止まっていたみずきに微笑み言うコウヤ…
「…う、ん」
悲しい内容なのに動じないコウヤを不思議に思ったけれど…スナオに頷くみずき…
「うん…どうしようか、座ろうか?」
もといた公園のベンチを指して言う。
みずきは頷いて、いつもの場所へ座る…
冷静に家を逃げ出して来た時のことを思い出すと…父親は刃向かった自分にきっと腹を立てているはず。
すぐに帰れる状況じゃないから…
でも…いつかは帰らなきゃ駄目だ…
あそこが、自分の家だから…
「痛い?」
不意にコウヤが聞いてくる。
「えっ?これくらい…平気」
父親に殴られた所が…あかく腫れていた。
いつも手加減なんかしない父…みずきは、思いながら答える。
「強いコだね…君は…」
さっと頭を撫でて言うコウヤ。
「…コウヤさんは優しい人だね」
静かに思った事を言ってみる。
「そう思うかい?」
問い返してくるコウヤ…
「うん…」
瞳を見ながら頷くみずき。
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