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第14話

「優しくなんか…ないんだよ…俺は、本当は…恐ろしい人間なんだ」 コウヤはみずきの肩を抱いてポツリと言う。 「どうして?…すごく優しいと思うよ?今も一緒に居てくれてる」 首を傾げて言うみずきに… コウヤは緩く頭を振り… 「一緒にいるのは、俺も家に帰りたくないから…話し相手が欲しかったから…」 そして… 自分が、君に優しくするのは、君にあの子の影を重ねて…罪滅ぼしをしたい気があるから… 「…一緒なんだ」 静かに呟くみずき。 「そう…だね」 こんな…偽った心を隠して君に近づいた俺を…許してくれるだろうか… 一度…過ちを犯した人は… 自分は…臆病な人間になってしまうものだから… 不確かなこの感情に…そう理由をつける。 公園のベンチ… 本名もあかさない自分に寄り掛かり信頼しきって眠り出す少年を見つめ… 心の奥が静かに痛んだ。 その日は辺りが明るくなるまで、コウヤとみずきは一緒にいた…。

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