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第18話

しかし、深夜…その静穏が再び破られる。 乱暴に入口のドアを開け…父親ナオキが戻って来たのだ。 電気のついていない室内は真っ暗だ… ナオキは、ふらふらした足取りで廊下を歩いていく… そして廊下で丸くなって寝ているみずきに引っ掛かり、みずきに覆い被さるように倒れ込む… 「う…ッ!?」 その衝撃で、深い眠りから一気に目を覚ますみずき… のしかかる身体を押しのけ、逃れようと身体を動かすが… 「…優架か?ユウカ…」 ナオキは、そう囁くと優しくみずきの顔に触れてくる。 「なッ、母さんは出て行っただろ!何言ってるんだよ!?」 みずきは、酒臭いナオキを押し返しながら怒鳴る…。 「…ユウカ…」 しかし、大声で怒鳴ったのに、自分の声が聞こえていないかのように、なんの反応もしない… ただ、今はいない妻の名を呼ぶ父… 愛しく抱きしめられて… 父親のその言動… 訳がわからないみずき… 「と、父さん離して!オレはみずきだッ!」 父から逃れるため、思いきり暴れるが… バシッ!と平手がみずきの頬に飛ぶ… 「…ッ!?」 「煩いッ!何で抵抗するんだッ!」 ナオキは怒鳴り、みずきの顔を数回撲つ… そしてみずきにのしかかったまま…すぐ傍にある棚に置いてあったガムテープでみずきの口をふさぎ、両手首を後ろへ回し力任せにまきつける。 「痛ッ!?」 暴力を振るわれるのはいつものことだが…身体を拘束されたりしたのは初めてで…いつもと雰囲気の違う父に戸惑いと恐怖を感じるみずき… 真っ暗闇の中… 自分を見る父の瞳が恐ろしくて、身体が震えてくる…

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