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第19話
「…ユウカ」
ナオキは再び優しく名前を呼び、恐怖で氷ついたみずきの身体をゆっくり撫でていく…
「…!?…ッ」
「愛しているよ…ユウカ」
父は完全に自分を母親と間違えてしまっている…
否定し、声を上げようにもテープで口を覆われているため、言葉も出ない…
「う、うーッ!」
不自然に身体を触る父…
震えたまま唸るように拒否するみずき…
「おとなしくしろ…」
ナオキはみずきを抱き寄せるように囁き…
すっと後ろからズボンの中に片手を入れ、ずらしながらお尻に触れてくる…
「うぅッ!?」
そんな部分に触れられ、困惑も頂点に達するみずき…
勇気を振り絞って、足をバタつかせ…
狂ってしまった父を思いきり蹴飛ばす…
そして…、拘束されている手の代わりに腹筋で起き上がり、素早く逃げ出すみずき…
外へ逃げたかったが、父がいるため玄関が使えない…
心臓の鼓動がドクン、ドクンと耳から離れない、これほどの恐怖を感じた事が今までになかったから…
しかも、その元凶は…父親なのだ。
酒と薬物で自分自身のことも分かっていないような父…
みずきは逃げるしかなかった…
が、父親は蹴られたことと、逃げ出したことで、さらに逆上し、鬼のような顔でみずきを追いかけ出す…
みずきは、テラスの戸を目指して、逃げるが…
父親はなりふりかまわずみずきを追いかけ…
奥の部屋の戸をあけた所でみずきの肩を捕らえ、一発顔を殴り、後ろから首筋をわし掴みにして、そのまま勉強机に抑えつけた…
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