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第21話
なんで…父親はあんなことを自分にしたのか…とか、なんで…自分が、こんな仕打ちにあわなければならないのか…とか、理不尽な思いで聞きたいことは山ほどあったけれど…
今は…一言さえも言葉がでない…
ショックから立ち直れていない…
とにかくこの真っ暗な部屋から逃げ出したくて…
いつ、また…狂気な父が帰ってくるかわからない…
恐怖心が増す
暗闇の中、自分の心臓の音が耳に響き、呼吸が乱れる。
みずきは混乱する意識を必死に保って…脱がされたズボンと下着を急いで身につけ…なにも持たず家を飛び出す。
時刻はすでに深夜2時がこようとしていた…。
こんな時間に、母の元へは行けない…
どこへも行くあてがないみずき…
身体の痛みをこらえ、辿り着いた所は…
やはり、いつもの公園だった…。
夜…コウヤはいなかったから…誰もいないだろうと、そう確信して、いつものベンチをそっと覗きみるみずき。
「…あれ?どうしたの?こんな時間に…」
そこには…いつもの位置で煙草を吸っているコウヤがいた…
気配に気付いて、のんびりとした優しい声で言葉をかけてくれる。
「……っ」
コウヤの姿を見て…
安堵感からか、みずきの瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
「えっ…何かあった?こっちへおいで…」
微笑んでいたコウヤだが、みずきの様子を見て、真剣な顔で問い呼び掛けるが…
みずきは安堵感とともに不安感に心が縛られる。
父親にそういう行為をされてしまった自分は…ひどく汚れた人間になったような気がして…
本当はコウヤの元に…駆けてでも行きたい気持ちを縛りつける。
気付かれたら…
こんなこと…誰にも知られたくないことだから…
「……」
流した涙を拭い…
一歩も動けないでいるみずきを見て、コウヤは煙草の火を消し…様子を伺い近づく…
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