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第26話《コウヤとみずき》
それから三年がたち…。
みずきは14歳…。
コウヤは19歳…になった。
出会いの場所…
2人の特別な場所に座ったまま…
その頃のことを、にわかに思い出していたふたり…。
「…コウヤさんは、あの頃からあまり変わらない気がする…ずっと優しい先輩だから…」
みずきは…ポツリと呟くように言う。
「…優しい、か…ユウはそう思ってくれているんだね…」
含んだような言い方のコウヤ。
「それは、もちろん…」
頷くみずき。
「ありがとう…」
煙草を吸いながら…微妙な笑顔。
確かに…BOUSでのコウヤは後輩に優しい。
新人の世話役をしているから…みずきたちの年代より下の性優には人気がある。
でも…先輩たちや助手たちの態度は違う。
コウヤに対して、避けているような…よそよそしい態度なのだ。
それはみずきがBOUSに入会した時からだった。
こんなに優しいコウヤがどうして、避けられているのか…
不思議で仕方なかった…。
「…コウヤさん?あの、」
そのことを聞こうと思ったが…
「なに?」
優しく聞き返してくるコウヤ。
その笑顔を見ていると、やはり…聞けなくなってしまう。
代わりに違う質問をなげかける。
「……タバコっておいしい?」
「え?ふふ、おもしろいことを聞くね、ユウは…」
「すみません…」
あまりに的外れだったな…と首を振って謝ってしまう。
「ふ、謝らなくてもいいよ、タバコ、いつも吸ってるからね、俺」
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