28 / 74
第28話
「…はい」
みずきは頷き、意を決めて、すーっと吸い込んでみる。
「ぅ、けほっ…けほっ!」
すぐ軽く咳込むみずき。
「あぁ、大丈夫?そんなにおもいっきり吸い込まなくてもいいんだよ?軽く、ね…」
みずきの様子をみて心配しつつ、くすくす笑っているコウヤ。
みずきは息をととのえつつ…
「すみません…」
なんだか恥ずかしくて謝ってしまう。
「大丈夫?はじめてだから仕方ないよ」
柔らかい口調で気遣ってくれるコウヤ…
「はい…」
息をついて、もう一度、口に持っていき、静かに吸ってみるみずき。
「今度は平気?」
「……」
コウヤの問いに、白い息をはきながら、こくんと頷く…
「よかった…感想は?」
「あまりおいしくない…」
ぽつりと呟く…
「はは、だろうね…これは大人の味、…ユウも吸ってたらキスしても匂い気にならないよね」
そっと微笑み…コウヤが言い終わると同時に、柔らかい唇と唇が触れる。
不意にコウヤが、キスをしかけてきたのだ…
「えっ!?」
不意打ちだったので、かなりびっくりして持っているタバコを落としそうになるみずき…
「ふふ、相変わらず可愛いね…反応」
くすくす笑う。
……変わらない君が好き。
伝えられない想いを胸の中で呟く…
「…コウヤさん」
からかわれたのだと、ようやく理解して…溜息まじりに名前を呼ぶみずき。
「ごめん、ごめん。可愛いなんて褒め言葉じゃないよね」
微笑んだまま謝るコウヤ。
「…ほんとに」
そのいつもの笑顔攻撃に、どう反応していいものか…
みずきは溜息まじりに呟く。
「じゃぁね、お詫びに…ユウの希望をなんでも、ひとつだけ聞いてあげるよ」
みずきの様子を見て、コウヤは機嫌とりに軽く言う。
ともだちにシェアしよう!