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第34話
「…コウヤさん」
「…見えない場所を殴ったり…言葉で責めたり、ついには…泣いて嫌がるあの子を…無理矢理抱いたりも…」
うつむいて、表情なく…静かに語るコウヤ…
そんなことを語るコウヤに、驚きが隠せないみずき…
いつも優しいコウヤが…人を虐めている姿など、想像も出来なかった。
「……」
言葉をなくしているみずきにコウヤは一瞬だけ、瞳を合わせ…
言葉を続ける
「俺も…ユウと同じ年にBOUSに入ったから、衝動的に抱けたんだ…その頃、既に、お義父さんとも関係をもっていたしね…」
「…失望…した?俺の本当の姿を知って…」
不意に、そう問ってくるコウヤ。
「……」
そう問われても、すぐには返事ができないみずき。
「…俺の罪は、これだけじゃないんだ…」
そんな様子を見つめコウヤは、すべてを伝えるつもりで、話し出す。
「……」
黙って聞いているしかできないみずき…
「……罪をおかしているのに…誰も、俺を裁いてはくれない…。忘れる訳はないのに…弟はきっと、君に俺を裁かせる為に、君を俺の元に…引き合わせたんだ…」
「どういうこと…?」
静かに問うみずき。
「…俺は、俺はね…人殺しなんだ…」
顔を伏せたまま、呟くように…伝えるコウヤ。
「え…?」
「弟を…あの子を、直接的じゃなくても…」
コウヤは…両手で顔を覆い、続ける。
「…あの子は、自殺したんだ…俺の、虐めから逃れる為に…」
押し殺したような声で言う。
「…!?」
「前日までは…変わりなかったのに…」
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