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第37話
相手を見て…。
コウヤの服を握りしめていた右手を離し、コウヤの左頬を平手で思い切り叩くみずき…
パシッ…
「…ッ!?」
驚き動きを止めるコウヤ。
「…ごめんなさい」
すぐ謝るみずき…
続けて…
「…でも、コウヤさん、このまま続けたら…コウヤさんが…もっと、傷つくだけだから…」
静かに伝える…
きっと…ずっとずっと、コウヤを苦しめていたんだ…自分の姿は…
父親を苦しめているように…
「…ユウ」
「オレ…全然気付かなくて、ごめんなさい…」
「……」
「コウヤさんを…苦しめていたのに…」
ぽつりぽつりと言葉にする。
「違う…」
コウヤはそっと首を横に振るが…
「なのに…オレは…勝手な事、頼んだりして…」
普段から優しいコウヤ…でも、いつも感じてた違和感…
コウヤは…わざと、一線引いて…近づかないようにしていたのに、演技教えて欲しいなんて事を頼んで…
みずきは罪悪感に押されてしまう。
「…コウヤさんを、叩いたりして…」
続けて言葉にするみずき。
それを見つめ…不意にコウヤは、優しくみずきを抱きしめる。
「えっ…?」
「うん…全然ちがう…」
コウヤはみずきの頭を抱き寄せながら…
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