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第39話

「…か、母さんが、名前教える時は、こう言えって…」 でも、やっぱり恥ずかしいから…今度からやめよう、とひそかに思うみずき。 「ふ、綺麗な名前だ…。ちゃんと違うよ…弟は平仮名のみずきなんだ」 微笑みながら伝えるコウヤ。 前は弟と重なって…呼べなかったけれど… 今からは呼べる。 「…あの、コウヤさんは?」 みずきは気になって聞いてみる。 「え?…あぁ、俺の本名?」 「……」 コウヤはBOUSのネームだから…頷いて待つみずき。 「俺は、幡瀬 光一郎、祖父がつけてくれた名前だから、なんか堅い感じだよね…」 「こういちろう…」 呟いたみずきの言葉を聞いて続けて… 「…弟は母がつけたんだよ、瑞は?誰にもらった名前?」 「え…と、母さんだと思う…姉さんの名前を父さんが決めたから…」 軽く首を傾げながら答える。 「そっか…」 すっかりいつものコウヤに戻ってくれたので、みずきも安心する。 父親も…コウヤさんのように、いつかは気付いてくれるのだろうか…? そっと身体を離し… 「瑞?…今度の撮影はいつ?」 少し表情を暗めたみずきを覗き見て、撮影のコトを悩んでいるのだと思って問ってみる。 「え、2週間後…」 色々あって、少しだけ忘れかけていた事を聞かれて、はっとする。 「相手は?」 ゆっくり聞く… 「サクヤ…っていう、年下…」 思い返して、また気負う気持ちに押されてしまう。 「あぁ、あのハーフみたいなコね…」 コウヤは知っているようで答えてくれる。 「ハーフ?」

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