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第40話
「見た事ない?色白で茶色い髪してて凄く可愛い姿だから…目立つけど」
「…はい」
頷くみずき…。
年下の性優は撮影が少ないので、顔を知らない人も多くいる。
みずきはヨシのように積極的に他の性優たちと話したりしないから…
しかも、サクヤは撮影が済んだら、すぐ帰ってしまうらしく、自分もBOUSに長居しないので、会う機会がまったく無く、知らないのだ。
そんな相手との撮影…
自信もなにもないから不安だ。
「サクヤ…あの子は、演技苦手だね、涙を流す演技とか出来ないから…」
「えっ…」
そんなことを聞かされると余計不安になる…
どっちも出来ない同士だったら、撮影が終わらない。
「…普段、あまり泣かないコなんだろうね…」
コウヤはサクヤの事を話し出す。
「え…」
「入会時のレイプ撮影…9才で受けたのに、あの子は泣かなかったなぁ…、ナカナカいないよ、あの初めての撮影で泣かないコ…」
抵抗や怯えたりはしたけど、決して涙は流さなかった…
コウヤは感心した口調で言う。
「…凄いんだ…」
ぽつりと呟く。
入会撮影を経験していないみずきだから、内容までは判らないけれど、自分だって…父親から初めてされた時は泣いたから…
「凄い?…どうだろうね、泣きたい時に泣けないのは悲しいと思うな…撮影もヘタってレッテル貼られちゃうしね…」
優しく言葉にするコウヤ。
「…うん」
確かにそれはあるな…と頷くみずき。
「その点、君は凄く演技できる方だと思うよ?自信持って」
そう髪に触れながら励ましてくれるコウヤ。
「…オレは、書かれている役に、ただなりきっているだけだから…」
首を傾げながら答えるみずき…
「それがすぐにはみんなできないんだよ、普通。サクヤもそのうち慣れてくると思うけどね…」
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