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第43話
「そうか…だから…」
コウヤさんの言っている事は…正しいと思ってしまう。
いくら、泣いても泣いても、自分の気持ちに気付いてくれる人が傍に居なかったら…それは、泣くことを諦めてしまうかもしれない…
泣いても無駄なんだ…と。
「だからね…撮影で、たとえ泣けなかったり…笑えなくても、責めたりは出来ないと思うんだ…心の底についた傷の本当の深さは、やっぱり本人にしか分からないからね…」
「うん…そう、思う…」
コクンと頷いて、少し痛い気持ちに胸をおされるみずき。
「結局、色々話しちゃったね…」
コウヤはクスッと笑って言う。
「あ…」
言われてはっとなる。
「まだ家族構成とかも知ってるから教えようか?他の子の事も、知りたかったら教えてあげるよ、瑞にならね」
そう優しく囁くと…
「い…、いい!これ以上は…本当に」
手をかざし、顔を横に振って断るみずき。
一方的に知ってしまうのはフェアじゃない…かといって、自分は気軽に話せる事を隠している訳ではないから…
「ふふ…君ってコは…」
コウヤは優しく微笑み…そっとみずきの身体を抱き寄せる。
「…コウヤさん?」
軽く首を傾げ呟くみずきに…
「…だから好き‥」
柔らかいいつもの口調で囁く小さな告白…
混乱していた自分を目覚めさせてくれた瑞…
それで、はっきり分かった気持ちもある。
弟に持っていた気持ちとは違う…、瑞が傍にいてくれると…嬉しくて暖かい気持ちになれ、その先のことを思えば…
胸がぎゅっと締めつけられるような切ない痛みを感じる…
大切にしたいと…
これが…人を、愛してしまっている時に感じる痛み…?
みずきはコウヤの気持ちに気付かず、好きと言われて嬉しくてお返しに、純粋に答えてしまう。
「…オレも母さんと姉さんの次に、コウヤさんの事、好きだよ」
そう純粋に微笑む顔を見ていると、切なく笑い声が漏れるコウヤ…
「ありがとう…瑞、ありがと…」
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