46 / 74
第46話《ユウとサクヤ》
コウヤとの一件から、あっという間に2週間が経ち、はじめて年下と撮影をする日がやってきた。
やや緊張しつつ…コウヤのアドバイス通り早めにやって来たみずき。
時間は朝8時、BOUSの3階、1時間ほど早く来たみずき、まだ早すぎてミーティングルームが開いていないので、大部屋の椅子に座って、もらった台本に目を通している。
内容は…強姦系の話ではなかった…。
「…よかった」
ほっと溜息をつくみずき。
撮影内容もそんなに複雑でなく、時間も仕上がり20分ほどの話だったので、これなら、なんとか台本を覚えられそうだ。
「……」
まだ誰も来ていない大部屋、静かな場所で撮影の流れを頭にしっかり入れるみずき。
どうやら、設定は若い恋人同士が、好奇心で初体験してしまう。というもの…暴力的な行為はないのでさらにほっとする。
さすがに初対面の人を殴ったりしたくないから…
みずきが台本を読みはじめて30分が過ぎ、ひと息つこうと顔を上げると入口の方から聞き慣れた声…
「…あ!ユウ、もう来てたのかー!先輩、じゃ後で!」
撮影相手の先輩と話ながらやってきたのは、相方のヨシ…
自分に気付いて走ってくる。
「おはよう…ヨシ」
いつものように声をかけるみずき。
「おはよ~!今日早いな、ユウ」
笑顔でやってきてみずきのとなりに座って聞くヨシヤス。
「…不安だったから」
少し伏せめに答えるみずき…
「不安?…でも、相手サクヤじゃん、適当にやればいいだろ?気にするなよ、あんな奴」
みずきの台本を覗き見なが、気に食わない様子でフンと答えるヨシ。
「そういう訳には…先輩らしくちゃんとしないと…」
「マジメだなー、ユウは。そこがユウのいいトコロだけどな、じゃオレはミーティングいくよ、先輩来てるから!頑張ってな~」
にこっと明るい笑顔を残して、再び走り去っていくヨシ。
ともだちにシェアしよう!