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第46話《ユウとサクヤ》

コウヤとの一件から、あっという間に2週間が経ち、はじめて年下と撮影をする日がやってきた。 やや緊張しつつ…コウヤのアドバイス通り早めにやって来たみずき。 時間は朝8時、BOUSの3階、1時間ほど早く来たみずき、まだ早すぎてミーティングルームが開いていないので、大部屋の椅子に座って、もらった台本に目を通している。 内容は…強姦系の話ではなかった…。 「…よかった」 ほっと溜息をつくみずき。 撮影内容もそんなに複雑でなく、時間も仕上がり20分ほどの話だったので、これなら、なんとか台本を覚えられそうだ。 「……」 まだ誰も来ていない大部屋、静かな場所で撮影の流れを頭にしっかり入れるみずき。 どうやら、設定は若い恋人同士が、好奇心で初体験してしまう。というもの…暴力的な行為はないのでさらにほっとする。 さすがに初対面の人を殴ったりしたくないから… みずきが台本を読みはじめて30分が過ぎ、ひと息つこうと顔を上げると入口の方から聞き慣れた声… 「…あ!ユウ、もう来てたのかー!先輩、じゃ後で!」 撮影相手の先輩と話ながらやってきたのは、相方のヨシ… 自分に気付いて走ってくる。 「おはよう…ヨシ」 いつものように声をかけるみずき。 「おはよ~!今日早いな、ユウ」 笑顔でやってきてみずきのとなりに座って聞くヨシヤス。 「…不安だったから」 少し伏せめに答えるみずき… 「不安?…でも、相手サクヤじゃん、適当にやればいいだろ?気にするなよ、あんな奴」 みずきの台本を覗き見なが、気に食わない様子でフンと答えるヨシ。 「そういう訳には…先輩らしくちゃんとしないと…」 「マジメだなー、ユウは。そこがユウのいいトコロだけどな、じゃオレはミーティングいくよ、先輩来てるから!頑張ってな~」 にこっと明るい笑顔を残して、再び走り去っていくヨシ。

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