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第48話

「……」 みずきは、その様子を挨拶も忘れ、ぼーっと見つめてしまう… いや様子ではなく、サクヤの姿に… 珍しさに見とれてしまっていた。 綺麗な淡い栗色の髪に色白な肌… まつ毛は長く、大きな瞳はなんと緑色をしていた。 今まで日本人しか見たことがなかったみずきには、かなり衝撃的だった… こんな瞳の色をした人が、本当にいることが… 吸い込まれてしまいそうな深い緑色の瞳… 可愛いその姿が、目の前で動いて、そしてオレの撮影相手で… なんだか動揺して、胸が勝手にドキドキしてしまう… 落ち着こうといったん目を背けるみずき… 「はじめまして」 そんなみずきの混乱を知るはずもなく…サクヤは隣に座ってきて愛想なく挨拶してくる。 「あ、は…はじめまして」 その言葉に我にかえり、返事するみずき。 なんとか相手の瞳を見返すが… それは失敗だった。 「……(凄く綺麗だ)」 日本の血と外国の血を見事にブレンドされた作品… そう、素直に感想を抱かせてしまう、若干11才の少年。 子どもなのに…コウヤさんが言っていた通り、どこか大人びた雰囲気を漂わせている。 「なに?」 じっとみずきに見つめられ、少し気分を害した様子で言うサクヤ… 「いや…、お願いします」 まずいと思って再び瞳を逸らし、助手にはじめるように声をかける。 まさか、見惚れていた。とは言えない… もう、ジロジロ見ないようにしないと…端無いし、怒らせてしまうから。 そう自分に言い聞かせて、みずきは撮影に心を切り替える。 一通り助手が台本の説明をしたあと、助手はいったん部屋を出る。 そして性優ユウ(みずき)とサクヤ(アキラ)2人だけ残される。 ここからしばらくは、2人で台本チェックをするのだ。

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