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第53話

「…大丈夫です!スミマセン」 急に顔を上げ、練習のつもりなのか、にこっと笑顔を作り言うサクヤ。 その眩しい笑顔にドキっとして止まってしまい、言葉を出すのを忘れてしまうみずき。 「今のじゃ…やっぱだめ…?」 困った風に首を傾げるサクヤ。 「えっ、あ、いや…」 さっきまで全然感情を表に出さなかったサクヤが、本番になるとマイペースに表情を変えてくる。 それで返答にもたついていると… 「あーもぅ、わかんねぇ…」 今度は少し苛々した感じで、見た目と似合わない言葉づかいで言い捨てるサクヤ。 そんなサクヤを見て新鮮な驚きを感じる。 初対面は人形のようだ…などと思ったが、全然そんなことはない。 役柄ではない…素のサクヤに出会えたような嬉しさが込み上げるみずき。 いつの間にか、またサクヤを見つめていた… 「あ…何?」 サクヤは気付いてまた問ってくる。 「いや、ごめん」 撮影中にこんなことを思っているのは、きっと自分だけだ… 撮影に集中しないと、と少し罪悪感に押され相手に謝ってしまう。 「え…?」 サクヤは、なにが?と顔をしかめる。 NGは自分が出したのに謝ってくる相手… (なんか、頼りないな…) みずきを見て…そう、心に思うサクヤ。 「…攻役、何年目?」 なんだか不安になって、無表情に戻って聞いてしまうサクヤ。 「な…(何年目…)」 みずきは、サクヤの問いにドキッとする。 何年どころか、攻はルキ先輩相手に指導的内容で3回撮っただけ…期間にすると一ヶ月弱。 「……」 答えにくい…

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