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第58話

「っ、はぁ…、はぁ…」 身体の緊張感がとれ、軽い脱力を感じながら… とりあえず、ここまでの成功に安堵するユウ。 そのままの状態で、上がった呼吸を整え… すっと腰を引いて、サクヤから自分を抜き出す。 「ァ、痛っ…ん、」 自分の中に入っていたモノがなくなる感覚に、声が漏れ、サクヤの身体も脱力感が支配する… やはり、息が上がっているため、しばらくは言葉が出ない。 「ッ!?」 不意に、抜いた手元を見て、ビクッとするユウ… そこには、自分のソレに絡みつくように付いた血液…。 シーツには鮮血が零れていて… 「……」 一瞬、頭の中が真っ白になるほど驚いてしまう… 相手にケガをさせてしまった事が、はじめてだったから… 練習撮りのルキ先輩との撮影の時には、こんな風にはならなかったのに… ユウはうろたえて、ふっと監督の方を見て、どうしよう…と目で伺ってしまう。 「……」 監督は手で(続けて)とあっさり合図してくる… 仕方なくユウは、ショックな心を抑え、演技を再開する… 「…ごめんな、痛かった?」 頬に触れながら…尋ねる。 「ううん…へいき、ユウ兄ちゃんのこと、大好きだもん…」 ちょっと強がったような口調のサクヤ。 それが台詞だと分かっていても、良心が痛むユウ… 「…ウン、オレも大好きだよ…サクヤのコト。これからも、ずっと一緒だ…」 微笑んで、ぎゅっとサクヤを抱きしめる…。 「うん…ずっと一緒…」 その柔らかい身体に…髪に触れ、台詞を聞いて… 再びサクヤを視界におさめ… もう一度… 可愛い唇へKissを落とす。

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