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第60話
そして視線を斜め下へ流し…
そのまま数秒時が流れる。
その表情にみずきは、ひそかにドキドキとしていたところ…。
「はい!OKッ。お疲れ様、」
監督の声。
まわりがまた騒がしくなる。
一瞬のような追加撮影、あとは助手たちが映像編集して上手く作品が出来上がるのだ。
「ありがとうございました」
サクヤは、やっと終わった、という顔で挨拶している。
「…ありがとう、ございました」
サクヤを抱き起こしながら…みずきも1テンポ遅れて挨拶する。
すると、監督が近づいてきて…
「ユウちゃん、驚かせてしまったけど、面白いほど、こっちの思い通りのものが撮れたよ」
そう機嫌良く話しかけてくる。
「えっ…でも」
サクヤをケガさせた上、結構うろたえて演技していたのに…
自分としてはかなり不本意な撮りだと思うみずきだが…
次はサクヤに声をかけている監督。
「サクちゃん、一応消毒だけするから、シャワー浴びたら3階の医務室に行ってね」
「はい…」
短く頷くサクヤ。
「あと、いつまでも『めぐすり』使えると思わないでね…どんどん撮影難しくなるんだから…」
軽く注意されるサクヤ。
「…分かってマス」
大きめのバスローブを羽織り息つくような表情で答えているサクヤを、ぼーっと見てしまうユウ…
「ユウ、お疲れ様」
すっと不意に、ユウの肩にバスローブをかけ、柔らかく声をかけてくる人物。
「あ…コウヤさん」
振り返って驚くみずき。
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