「心配してた割には、上手くできてたようだね」 いつもの柔らかい笑顔でみずきに話かけてくるコウヤ。 「いえ、全然…余裕なくて、サクヤを傷つけてしまったし…」 急に現れたコウヤの言葉に、サクヤの方を見て、少し後悔した感じで言うみずき。 「…、コンニチハ」 サクヤはコウヤに気付いて愛想なく挨拶をする。 「こんにちは、サクヤ…お疲れ様」 コウヤは優しくサクヤに言葉かけるが… 「…！」 サクヤに話かけていた監督は、コウヤに気付くと、あからさまに嫌な目で威嚇するように見て、さっと無言で去っていく。 『……』 そんな気まずい雰囲気に、言葉を無くしているユウとサクヤ。 しかし、コウヤは… 「…アテ撮影だから、上手くいってたと思うよ」 それに触れることなく笑顔のまま、みずきに言う。 「え…、」 雰囲気的に言葉を返せないでいるみずき、コウヤはなぜか他の先輩に嫌われているようで… でも、コウヤは気にしていないと言うか、その先輩たちの態度を諦めている感じでもある… その理由を、いつか知りたいと思うけど、みずきは聞けないでいた。 心の中で、みずきが思ったと同時くらいに、サクヤが口を開く… 「…なんで、無視されたのに、笑ってられるんですか？」 悪気なく、なんともストレートに問うサクヤにびっくりしてしまうみずき。 「うーん、こればっかりは、ケンカ売っても仕方ないからね…」 サクヤの問いに、考えるように苦笑いして答えるコウヤ… 「腹たたないんですか？」 サクヤはいつも機嫌をくずさないコウヤを不思議に思って聞いてしまう。 「まぁ、でもね…そういう風に扱われるのには、深い理由があるんだよ。俺は、先輩たちに怨まれてしまうような事をしてしまったから…仕方ないんだ」 一度、頷いてそう言うコウヤ。 「コウヤ先輩が？」 どうみても怨まれるような性格には見えないコウヤなのに… サクヤは、余計分からなくなってしまうが…