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第62話
「それより、久しぶりの本番撮影、大丈夫だった?」
笑顔のまま、さりげなく話を変えてサクヤに聞くコウヤ。
「…仕事だから、平気です」
まったくと言っていいほど泣き言をいわないサクヤ…
平然と言葉を返す。
「相変わらずだねサクヤは…その年で仕事って割り切れてるトコとかね、でも、そういうの好きだよ…」
微笑み、サクヤの頭を軽く撫でて言うコウヤ。
その言葉に首を傾げるサクヤ…
コウヤは続けて。
「…今日はユウも頑張ったよね、お互い慣れてなかったから…ま、わざと撮影、当てたんだと思うけど…」
みずきの頭も撫でて教える。
『わざと!?』
コウヤの言葉に驚く2人。
「そう…慣れない者同士をアテて、演技じゃない、その自然な反応を撮るのが目的な撮影だったから、ユウの慌てた姿も、サクヤの出血も、思い描いてた通りだったんだよ。NGにならなかったのは…」
コウヤの言葉を聞いて顔を見合わせるサクヤとみずき。
「慣れてないって、この人も?」
サクヤは驚いたようにみずきをさす。
「そうだね、ユウは年下と攻役初めてだったよね」
「…うん」
コウヤの言葉にこくんと頷く…
「はじめて!?」
「…ごめん、ヘタだったと思う」
自信なさげに謝るみずき…
「…別に、大丈夫だけど…一年くらい経験あるのかと思ってたから少し驚いただけ…」
感じたままを伝えるサクヤ。
「はは、ユウは成長いいし、落ち着いてるからね。なかなか年相応にみられないんだよ…まだ14才だよね」
振られコウヤに短く頷く。
「14?…じゃ、同じジュニアクラスなんだ…」
1人で納得するように呟くアキラ。
「そうそう、ランキング表見たら分かると思うんだけどね」
コウヤは言葉を拾って言う。
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