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第65話《約束》

「すみません、遅くなって…」 待たせていたコウヤに…まず謝って、やはり1人で煙草を吸っているコウヤの隣へ座る。 「いいよ、誘ったのは俺だしね…どうぞ」 優しい笑顔でみずきを迎え、煙草を勧めるコウヤ。 「あ…どうも。コウヤさん」 煙草を1本分けて貰いお礼をいう。 「……」 煙草の火をみずきに分けながら…その様子を穏やかに見る。 「…あの、なんでこの時間に?」 みずきは、まず気になったことを聞いてみる。 今、時刻は昼3時すぎ…。 高校生以上の人は、だいたい12時ぐらいから撮影ミーティングにはいる筈だから、この時間にコウヤがなぜここにいるのか不思議に思って聞いてみる。 「今日ね…俺の誕生日なんだ」 不意に、みずきの質問とは違うことを伝えてくるコウヤ。 「え…あ。おめでとうございます」 コウヤの突然の話題変換に、戸惑いながらも、お祝いの言葉を贈るみずき。 「ふ…、ありがと…」 みずきの素直な反応に苦笑いのような、微妙な表情で微笑む。 そのコウヤの顔を見て、はっと気付くみずき… 「…あ、コウヤさん…二十歳に」 コウヤは自分の姉と同い年なので、今年で二十歳になる筈なのだ。 「ウン…」 優しく頷くコウヤ… ここBOUSは、二十歳に卒業する決まりだ。 「じゃ…、終撮は…」 終撮とは、終了撮影のこと…これを撮ると、助手にならないかぎり、BOUSから縁が切れる。 「そう…終撮、今日終わったんだ。もう、ココへ来る事もない…」 コウヤは先輩助手たちに避けられているから…助手をすることはない。 「……」 BOUSでコウヤと会えなくなる。 そういう事だが、あまり実感がわかないみずき…

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