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第67話
「……」
無言でうつむくみずき…
いつかは卒業してしまうと思っていたけど…
卒業と同時に縁が切れてしまうとは思ってもなかったのでショックな気持ちを隠せないみずき…
「…ユウも、もう14才になったんだね…」
コウヤは落ち込むみずきの頭を軽く撫でて…そう呟く。
顔を上げ瞳をあわせるみずき。
「同じ年だ…」
コウヤは続けて呟く…
弟が亡くなった年齢と同じになったみずき。
色々な理由をつけて、ココから離れようとしている自分だけど…本当は、君から、鈴鹿みずきから一番逃げたかったのかもしれない…
弟の姿と、そっくりな君から…
これ以上、君の成長を見るのは恐い…
弟と同じように君も…この世から、消えてしまうんじゃないか…、毎日が恐い。
そんなはずはないと、思っていても…手の届くところに君がいると、いつか自分が傷つけて…殺してしまうかもしれない。
弟にしてしまったそれと…、同じように…
いつまでも、優しい自分を演じていられる自信がない…
もう俺は、自分を信じることが出来ないから…
君のそばから逃げて…
遠く離れて、素直な気持ちをあやふやなまま…時間とともに薄らいで、消えてしまえばいいと…
愛してしまった人を再び失うのは…もう、嫌だから…
『愛している』と伝えることも…
本当の気持ちを伝えて身体を重ねることさえ出来なかったけれど…
訣別のためには、その方が…良かったのかも、しれない…
コウヤは…心で整理しきれないみずきへの気持ちを、別れという短絡的な方法でピリオードを打とうと…したかった。
「……瑞、」
俺の意志を優先して、何も言えなくなっている、優しいコの名前をそっと囁くコウヤ…
「……」
少し寂しげな表情のみずき…
勝手な俺。
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