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名前・睦月side
ボソッと呟かれた言葉に「えっ?」と僕は聞き返す。
ライオンくんは「俺の名前」とぶっきらぼうに一瞥すると踵を返した。
「……っ!」
意味を理解した僕は嬉しくなって、去っていくその背に急いで「ありがとう!」と再び御礼を言う。
「僕は水無瀬睦月!また会おうねー!」
一生懸命に叫んだら何故かライオンくん、もといレオくんはピタリと立ち止まり物凄い形相で振り返った。あれ?どうしたんだろ?
だけどすぐ呆れたように溜め息を吐くと、また歩き出す。
??何だったんだろ?
うん…でも、レオくん。レオくんか。やっぱりライオンくんだ!って言ったら怒られちゃうかな。
僕は楽しくなって笑顔になる。ちょっとこれからの事が色々不安だったけど、元気をもらえた気がした。我ながら単純かも。
浮かれながら僕も帰ろうとした瞬間、また人にぶつかりそうになった。アドバイスを思い出して、すぐさまカニ歩きに移行する。すると上手い具合にすり抜けられて感動した。とろい僕は自分でもびっくりする。
ありがとう、レオくん!!
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