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御挨拶・礼於side

「あの野郎…信じらんねぇっ…」 安アパートの自室に帰り着いた俺はブルゾンをソファに脱ぎ捨てる。 電車で会った無警戒な田舎者にイライラしていた。 言うか普通?あんな公の場所で自分の名前を大声で?個人情報もクソもねえ。いくら何でも無防備すぎんだろ馬鹿じゃねぇのか。 やっぱ『でけぇ声で名乗るな!』って注意すべきだったか?きょとんとした顔に気ぃ抜けて止めちまったけど。 「クソっ…」 頭をガシガシ掻いて怒りを紛らわせる。 あの野郎…ミナセ…何つったか。ま、いいか。どうせもう会う事もねえだろうしな。 しかしアイツ… 『ありがとう…優しいね』 綺麗な顔してっからパッと見は冷てぇ印象だけど、笑ったらかわ…… クソが!!!!何考えてやがる俺!!!! ピンポーン しかも誰だこんな時に来やがる奴は!(たか)の奴か!? チャイムにさえ苛立って俺は足音荒く玄関に向かう。覗き穴も確認せずに勢いよくドアを開けた。 すると。そこに立っていたのはーー 「初めまして!このたび隣に引っ越してきました水無瀬と申し…あっ!?レオくん!!?」 件の、田舎野郎、だった…。

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