23 / 31

忠告・礼於side

次の日は会わずに済んだ。だが、その次の日。 「レオく~~ん」 早朝からミナセの声が玄関の向こうから聞こえる。コンコンと続くドアを叩く音。チャイム鳴らせアホ。 奴の性格を少し理解した俺は仕方なく応対した。ドアを開けた俺を見て「おはよう!あれっ」と目をぱちくりさせる。「レオくん…おととい今日が始業式って言ってたよね?」と狼狽えた。明らか寝起きだからな。 「僕も今日入学式だから、途中まで一緒に行きたかったんだけど…僕、間違った?」 上目遣いで窺ってくるミナセ。…あざといなコイツ。まあ無意識なんだろうが。 サボるつったら煩そうだ。頭をガシガシ掻くと「ちょっと待ってろ。準備する」と踵を返す。 「うんっ!」と無駄に元気な奴の返事を背中に受けつつ着替えた。 あー流されてんな俺… アパートを出て(ミナセの部屋の鍵は確認させた)並んで歩く。色々話しかけてくる奴に生返事をしていると、通りすがりの主婦やサラリーマンにチラ見された。 …俺じゃねえな。好意的な視線だ。隣に目を向ける。改めて見ると、スーツ姿のミナセは雑誌に載っててもおかしくねえ佇まいだ。スラッとした体形だしな。 …ん。 「おい」と呼ぶと「ん?なーにレオくん」とポヤポヤした返事をする奴に危機感が募る。こいつ自分の容姿の自覚がねえみたいだからな… 「いいかよく聞け!」とビシッと指を差して告げる。 「お前は今まで善良なジジババに米や大根や猪や熊なんかの獣肉(偏見)貰ってヘラヘラ笑ってりゃ良かったかもしれねえけどな…ここには色んな奴が居るんだ!当然悪い奴もいる…知らねえ奴に声を掛けられても絶対付いていくんじゃねえぞ!分かったな!!」

ともだちにシェアしよう!