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忠告・睦月side
またもや突然のアドバイス。友達って本当に有り難いなぁ。僕は「分かったよレオくん!男同士の誓いだね!」と意気込んだ。
「だから何でそんな大袈裟な言い方すんだよテメェは…」とレオくんが何やらぶつくさ言ってたけど、僕は嬉しくて頬がゆるみっぱなしだった。
ーーあれ?でも…
そういえば悪い人ってどんな人だろう?
そんな疑問を抱いたのは、レオくんとバス停で別れて暫く経ってからだった。もう僕は大学までのバスに揺られていて、徒歩通学のレオくんは勿論横にはいない。
時すでに遅し。うーん、困った。僕は座席に座ったまま頭を抱える。
遭遇した事はないけど、泥棒…とか?ドラマで観た銀行強盗…放火魔…ひいぃ…!
でも、そういう人を見分ける術ってあるのかな?ドラマでも普通の青年が犯人だった気がする。見分けられる自信がない…
あ!
でもレオくん、声を掛けられたら注意しろみたいなこと言ってたよね!
よーし、知らない人に声を掛けられたら注意だっ!!
「なあ、アンタ新入生やろ?名前なんて言うん?」
さ、さっそく見知らぬ人に声を掛けられた…!!!
大学の構内にドキドキしながら入ってすぐ。
無造作に跳ねさせた髪に赤い縁の眼鏡の男の子に呼び止められた。わ、悪い人…!!
には…ちょっと見えない、けど…ニコニコしてるし。
でもっ、僕には男の誓いが!!
「あれ。なんや警戒しとる?怪しいモンやないで、俺も同じ新入生やし」
み、自らの身分を明かしただと…!?悪い人ならそんな事しない、よね…たぶん
え~~~分かんない!!!本人に『悪い人ですか』なんて聞けないし…どうしよう…
「そこの新入生の方、急いで講堂にお集まり下さーい」
パニックに陥りかけていたその時、大学の事務員らしき人が僕たちに呼び掛けてきた。
た、助かった!!!
呼び掛けられたのは眼鏡くんも同様だったけど、無我夢中だった僕は「はいっ」ととても良い返事をして駆け出したのだった。
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